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「家庭用事件」似鳥 鶏
創元推理文庫(M) ISBN:978-4-488-47307-5

感想が遅くなりましたが、結構前に読み終わっていました。

このシリーズは、「葉山君シリーズ」とか、「にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ」とされていましたが、結局公式では「〈市立高校シリーズ〉シリーズ」と呼ぶことに決めたようです。おまけに、カバーが全面的に変わって、カバーイラストが新しい方に変わってしまいました。

新しいカバーイラストが悪いというわけではないのですが、前のカバーイラストがカバーデザインも含めて好きだったので、ちょっとがっかりです。というか、今まで同じ人のデザインで買っていたのにという感じですよ。多分、ドラマとか映画とかアニメとかを考えてなんでしょう。可能性としては、イラストが変わったのでアニメ化でしょうか。

これからしても、似鳥 鶏さんは、恐らくは東京創元社が第二の米沢 穂信にしたがっていると思われるのですが、どうなんでしょう。以前にも書きましたが、キャラクター的にはどうも個性が弱い気がします。

ということで、シリーズの新刊です。この前の「昨日まで不思議の校舎」が出てから、約2年ぶりですか。似鳥さんも「戦力外捜査官」のドラマ化とか忙しかったですからね。

ひとまず出版社からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:出版社から引用)

『理由(わけ)あって冬に出る』の幽霊騒ぎ直前、高校一年の一月に、映研とパソ研の間で起こった柳瀬さんの取り合いを描く「不正指令電磁的なんとか」。

葉山君の妹・亜理紗の友人が遭遇した不可解なひったくり事件から、これまで語られてこなかった葉山家の秘密が垣間見られる「優しくないし健気でもない」など 五編収録。

苦労性で心配性の葉山君は、今日も波瀾万丈な高校生活を送る!

感想:

今回は、短編集です。この〈市立高校〉シリーズは、日常の謎っぽいミステリですが、中身と普通に犯罪ですから、日常の謎というわけではないですね。その分お話しが重くなるかというと、なんだか日常の謎的に解決させるので、後味がよろしくない気がします。

そういう意味では、米沢さんだと〈小市民〉シリーズに近い感じもありますが、そこまではしっかりとした骨格があるという感じもありませんでした。

そこでこの短編集なんですが、ある仕掛けもありますし、動機が犯罪的なので全体的に暗いイメージがあってちょっと楽しくないですね。

ひとまず、短編ごとの感想をば。

◆不正指令電磁的なんとか

シリーズ第1作である『理由あって冬に出る』につながるお話しですが、まぁちょっと動機もトリックも無理やりですね。あり得ないと思います。

◇的を外れる矢のごとく

これも、推理根拠には無理がありますが、動機部分に焦点があたっているので、全体の中では面白いお話しでした。

ところで、秋野さんの位置づけというのは・・・(笑)

◆家庭用事件

これは、本当に無理があると思います。この話しの時点で、最後のアレを思いついたのではないかという気もしますが、それ以前にこのお話自体は、破綻していると思います。伊神さんの推理もそうですし、犯人の犯行も絶対にそうはしないだろうというものでしたし。

とにかく、事件が完全な犯罪なので、こういうまとめ方はよろしくないかと、ここでは思っていました。

◇お届け先には不思議を添えて

『放課後探偵団』で既に呼んでいた一品。感想は、この辺りにあります

ただ、料理のお話しとか、以前からこうでしたっけ?

◆優しくないし健気でもない

途中から、学校ではなく、葉山くんの自宅での様子が多く描かれるようになりましたので、何かあるのだろうとは思いましたが。このトリックは、某エラリークィーンの『Zの悲劇』(禁則事項)を思わせますね。

ただ、あまり感じのいいお話しではありません。この短編集全般にそうなのですが。今までの柳瀬さんが絡んだ楽しいお話し的な雰囲気もほとんどありませんし。ただの短編集ではなく、連作短編の雰囲気でお話しが続いてまとまっているのですが、それが成功しているとも言い難い感じもします。

この先は、恐らくはもっと葉山くんの家庭に絡むようなお話しになりそうな雰囲気ありますし、出版社の思惑とは別に青春ミステリからどんどん外れていくのではないかという感じもしました。

個人的には、柳瀬さんや秋野さんがもっと絡んで、楽しい青春ミステリになって欲しいのですが。

「昨日まで不思議の校舎」の感想はここ

「さよならの次にくる」の感想はここ

「まもなく電車が出現します」の感想はここ

「いわゆる天使の文化祭」の感想はここ

「放課後探偵団」の感想はここ