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「真実の10メートル手前」米澤穂信
東京創元社 ISBN:978-4-488-02756-8

はい、ますます書けていませんが、本や漫画の感想を補填しましょうシリーズです。藍麦お気に入りの作家さんである米澤さんの新刊です。いや、新刊と言っても発売は12/末でとっくに読み終わっていたのですが、感想をさぼっていました。感想をさぼっているものは、他にもたくさんあるので(『三月のライオン』とか『ちはやふる』とか・・)、そろそろ頑張らないといけないのですが。

米澤さんは、デビュー作である『氷菓』からずっと読んでいて、ある本を除けば新刊で読んでいます。一番のお気に入りは、〈小市民〉シリーズなんですが、もちろんアニメになった〈古典部〉シリーズもお気に入りです。

そしてこの「真実の10メートル手前」は、年末にミステリランキングを完全制覇した「王とサーカス」、そして「さよなら妖精」に続く〈ベルーフ〉シリーズの第三弾になります。で、実は発売すぐに読まなかったのがその「さよなら妖精」だったりします。(苦笑)

ちなみに〈ベルーフ〉シリーズの感想はこの辺りに書いています。〈ベルーフ〉シリーズは「王とサーカス」が、「さよなら妖精」が出てから10年ぶりの新刊でした。それでも、「さよなら妖精」から、実は間にはぽちぽちと短編が出ています。そのぽちぽちと出された短編を集めたのがこの「真実の10メートル手前」になります。

とまぁ、それは置いておいて感想を書いておきます。

あらすじを、出版社から引用しておきます。

あらすじ:(出版社から引用)

滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執──痛みを引き受けながらそれらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。『王とサーカス』後の六編を収録する垂涎の作品集。

感想:

〈ベルーフ〉シリーズって何ってことなんですが、太刀洗万智をはじめとする「さよなら妖精」の登場人物が主人公のシリーズということになります。ポイントは、〈ベルーフ〉とあるように、太刀洗万智は記者を天職としていくのかということがテーマになります。

ただ、そのきっかけとなっている「さよなら妖精」は、元々青春本格ミステリの〈古典部〉シリーズの第三作として予定されていたこともあり、まだ〈古典部〉シリーズ寄りで、このテーマの匂いはしません。なので、〈ベルーフ〉シリーズ外とされることもあるようです。

で、この「真実の10メートル手前」ですが、時系列的には年末に高評価を受けた「王とサーカス」より以前のものになります。ただし、シリーズといいながらも「王とサーカス」と違い、太刀洗万智が主人公であるわけではありません。彼女はあくまでも名探偵的な位置に置かれ、ワトソン役の主人公が語りを司るという形式になっています。そのため、読んだ感じが「さよなら妖精」や「王とサーカス」とは、少し違う感じです。ただ、自分には「王とサーカス」よりも、こちらの方が面白く感じました。

短編集なので、それぞれの短編の感想を書いておきます。

◆「真実の10メートル手前」

この本のタイトルとなっている短編ですが、結構早くに全容が分かってしまったので、少し拍子抜けな感じです。

◇「正義漢」

ミステリとしての構成よりも、もう一つのテーマである太刀洗万智の記者としての役割りについて考えるものですね。かなり捻ってありますが、非常に面白いです。皮肉が効いていて、この本の中では一番好きかも。

◆「恋累心中」

高校生の心中について。その心中の裏にある仕掛けを追うものです。ひょっとすると、一番ミステリらしい一編かもしれません。

◇「名を刻む死」

日本推理作家協会賞受賞第一作ということですが、気合が入りすぎか少し引っ張りすぎな感じがありますが面白いです。主人公は、なぜか自殺した老人が死ぬことを知っていたということから構成されるミステリになります。

◆「ナイフを失われた思い出の中に」

ロードムービーならず、ロードミステリって感じです。とある理由で『さよなら妖精』の続編色が一番強い一編です。そういう意味では楽しいです。

そろそろ、次は〈古典部〉シリーズの新刊かな?