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「ビブリア古書堂の事件手帖 5 ~栞子さんと繋がりの時~」三上 延
メディアワークス文庫 ISBN:978-4048662260

むむむ、『終物語』とか『ムシウタ』とか、感想を書きたい本がたくさんあるのですが、ひとまず出版順にということで、これから行きます。

テレビドラマとにもなった「ビブリア古書堂の事件手帖」ですが、本当にここまで売れるとは思いませんでした。このシリーズは、雰囲気と、栞子さんの古書に対しての蘊蓄を楽しむ小説かと思 います。テレビドラマも、まぁ雰囲気は出ていたような気がしますので、あそこまで叩かれるようなほどでもなかったかも。

ただ、テレビドラマは、古書店に光が差し込んでいたり、本を開いて伏せておくなんてとんでもないこともやってましたし、あまり古書について分かっていないですよね。あと、やっぱり栞子さんのイメージが叩かれた理由でしょうか。

さて、ドラマは置いておいて、小説については、人気が十分なようなので、今回も楽しんで読むことにしました。

ということで、5巻の感想を書いておきます。

とりあえず、あらすじを出版社ページから引用&改訂します。

あらすじ:(公式より引用)

静かにあたためてきた想い。無骨な青年店員の告白は美しき女店主との関係に波紋を投じる。物思いに耽ることが増えた彼女はついにこう言うのであった。必ず答えは出す、ただ今は待ってほしいと。

ぎこちない二人を結びつけたのは、またしても古書だった。いわくつきのそれらに秘められていたのは、過去と今、人と人、思わぬ繋がり。

脆いようで強固な人の想いに触れ、二人の気持ちは次第に近づいているように見えた。だが、それを試すかのように、彼女の母が現れる。この邂逅は必然か? 彼女は母を待っていたのか? すべての答えが出る時が迫っていた。

感想:

ビブリアとは、ラテン語で「本を愛する人」の意味だそうです。ビブリオとは、書籍ですね。

今回は、ストーリーが謎解きよりも、栞子さんと五浦大輔の関係や、栞子さんの背景に重きが置かれたように思います。というか、元々すごく論理的に謎が解かれるミステリではないですし、どちらかというと、ミステリ部分がサイドストーリーなんでしょうね。

ラストには、あのエピソードにストーリーが回帰することが示されましたし。

で、あとがきでは、全体が後半戦に掛かっていることが語られました。そう考えると、栞子さんと五浦大輔の結婚がラストになったりするんでしょうか。

では、それぞれの章で取り上げられる本と簡単な感想を。(ネタバレは避けます)

◆プロローグ リチャード・ブローティガン『愛のゆくえ』(新潮文庫)

知らない本ですねぇ。ここで、この本の大筋が見えました。

◇第1話 『彷書月刊』(弘隆社・彷徨舎)

この雑誌(ですか)は、名前は聞いたことがあったのですが、良くは知らなかったですね。見たことがあるかもしれないなぁ、と悔しく思いました。

ミステリの謎の部分については、さほど隠すつもりはなかったと思うので、分かりやすかったですね。

ただ、どんでん返しについては、ちょっとやられたという気持ちです。

◆第2話 手塚治虫『ブラック・ジャック』(秋田書店)

メインは、このエピソードですかね。

作品は当然有名です。一部は連載で読んでいましたが、記憶に残っているのは文庫になってからですね。

マンガ好きですし、そのため色々と知識はあるので、蘊蓄部分も知っていることが多かったです。それが逆に面白かったですね。

ミステリ部分については、そんなんでいいの?という感じ。まさか、そういうネタじゃないよねと思っていましたが、まさかのそういう答えでした。どこかで、同じトリック(?)あった気がする。

◇第3話 寺山修司『われに五月を』(作品社)

寺山修司も昔にかなり追いかけた気がします。今考えると、ちょっと小恥ずかしい気がします。(汗)

とはいえ、ミステリ的には、あまり印象に残らない感じでした。まぁ、この辺りから、栞子さんの気持ちの方に物語りの重心が掛かっているからでしょうか。

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ラストは、栞子さんと母親の関係、そして大輔くんとの関係で締めくくりです。いや、まさか大輔くんのあの考えを誰も思いつかないとは思いませんでしたが。当然、最初に考えることかと。まぁ、単身赴任している身なので、結構近い問題だったというのはありますが。(苦笑)

さて、次はあの人が登場して、一体どうなるかですね。

『ビブリア古書堂の事件手帖』の感想はここ

『ビブリア古書堂の事件手帖 2』の感想はここ

『ビブリア古書堂の事件手帖 3』の感想はここ

『ビブリア古書堂の事件手帖 4』の感想はここ