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「マツリカ・マハリタ」相沢 沙呼
角川書店 ISBN:978-4-04-110533-7-C0093

第19回鮎川哲也賞ということで、派手にデビューをした相沢 沙呼さんの新作です。図書館で借りたので、ちょっと遅れましたが感想を書いておきます。いや、本当は11月に出た『卯月の雪のレター・レター』を読まないといけないんですが、まだ本自体を見かけていません。

なので、書けていなかったこちらの感想を書くことにします。『マツリカ・マジョリカ』の続編ですね。

『マツリカ・マジョリカ』の感想はここ

それにしても、相沢 沙呼さんの新刊は、去年2012年の3、4月にポンポンと出て、それから暫くずっと音信不通でしたが、8月、11月とまた固まって来ました。どうも、そういうように固まった周期で来る作家さんのような気がします。まぁ短編作家で、コンスタントに作品を書いているからなんでしょうね。

どれも、学園の日常の謎的なミステリで、純粋な長編はまだないですね。『卯月の雪のレター・レター』も短編集ですし、長編をちょっと読んでみたいところです。

ということで、『マツリカ・マハリタ』感想行きます。

出版社からあらすじというか紹介を引用しておきます。

あらすじ:

孤独な学園生活を送っている高校2年生の柴山祐希。

ある日「一年生のりかこさん」の怪談話をクラスメイトから聞く。

謎を解決するため、学校近くの廃墟ビルに住む謎の美少女・マツリカさんの下を訪れるが…。

感想:

この「マツリカ」シリーズの前作では、ちょっと辛めの評価をしていました。

マツリカさんが何だったのかが分からないことと、祐希の性格がいま一つしっくり来ないことがちょっとお気に召さなかったようですね。

ただ、今回は、そういうものだと分かっていて読んだので、あまり違和感がありませんでした。というか、マツリカさんの謎を追いかけること自体が全体の軸になっていたから、分かりやすかったのかもしれません。

ただ、やっぱり祐希の性格が分かっていて、ちょっといらいらしますね。(苦笑)

まぁ、それはそうと連作短編なので、それぞれの感想を書いておきましょうか。

◆落英インフェリア

この『マツリカ・マハリタ』全体の軸となる「1年生のリカコさん」が登場するお話です。

消えた少女という日常(?)の謎を追う物語りですが、某神父ものの有名な短編のオマージュでしょうか。結構面白かったです。

◇心霊ディテクティブ

殺フィルム事件を追う短編です。これは、そうじゃないかなと、トリックには気付きました。理論的に考えれば、想像できる(証拠はない)謎なので、ミステリらしいと言えるかもしれません。

祐希の性格のいやな感じがあまり出なくて、心穏やかに読める一編です。

◆墜落インビジブル

このエピソードは、ちょっと無理やり感がありますね。あまりよろしくない気もします。ミステリとしても、意表をつく犯人というか、叙述トリックといいますか、あまり理論的に解ける謎ではないです。

結局、村上さんを登場させることが重要だったんでしょうね。

◇おわかれソリチュード

ん~サブタイトルは、漢字2文字にしてほしかった。「別離(おわかれ)ソリチュード」とかね。

このラストエピソードだけが書き下ろしです。

三つのエピソードを読んで、読者の誰もが想像していた内容をどんでん返しでひっくり返すのですが、どうなんでしょう本当にひっくり返ったのでしょうか?結局マツリカさんとはどういう心境で祐希くんに絡んだのか分からないですし。

ある人物が出てきたので、その事実は事実としてあるんでしょうが、あまりミステリミステリした謎解きでもないですよね。ラストエピソードだけにもったいない感じです。