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「終物語(上)」西尾 維新
講談社 ISBN:978-4-06-283857-3

アニメのセカンドシーズンも好調ですね。

っていうか、『傷物語』はどうした!(苦笑)いや、『傷物語』をやらずにセカンドシーズンをやってしまったので、もうあまり焦ってはいないのですが、どう して次々と次の作品が作れるので、どうして『傷物語』が停止しているのか理解に苦しむところです。配給会社と揉めて劇場が確保できないのかな。

と前回の感想と同じ始まり方をしてみたところで、〈物語〉シリーズのファイナルシーズン3作目です。ただ、この『終物語』は、どうやら西尾維新せんせが書きすぎたために、上下巻に分かれることになったようです。

「100パーセント趣味で書きました」

とのことですので、本当に趣味で好きなことを書いて書きすぎたんでしょうね。

ということで、『終物語(上)』は、「おうぎフォーミュラ」ということで、忍野扇ちゃんの謎が解明されるんでしょうかね。

その辺りの書評は、「続き」から書いていきたいと思います。

ということで、あらすじを出版社から引用しておきたいと思います。

あらすじ:出版社から引用

“お前は何も覚えていないのよ——阿良々木。自分が何でできているかを知らないの”。

真っ暗な瞳の転校生・忍野扇。彼女が微笑みながら解き明かす、阿良々木暦の“始点”とは……? 

高校一年生のあの日、少年は絶望を味わった

——アニメ絶賛放送中、<物語>シリーズ待望の最新作!

感想:

「化物語」シリーズの第3期、シリーズファイナルシーズンの第三弾です。

あらすじにもあります通り、先の『暦物語』同様に、今までの出来事を振り返るというか、阿良々木暦の歴史を振り返るような短編集ですね。

言ってしまえば、先の『暦物語』よりも、こちらの『終物語』の方が『暦物語』っぽいです。

構成的には、阿良々木暦の昔を知るといいますか、今の彼を作った老倉育を中心に据えて、彼女と暦の関わり合いを描きながら、彼の歴史を遡るというものになっています。

各短編ごとに感想を書くことにします。

◆第一話 おうぎフォーミュラ

ミステリ仕立てで、暦がぐれ始めた(?)きっかけとなったある出来事の犯人を探るというもの。

探偵は、暦というか実際には忍野扇ちゃんですね。彼女の手のひらで踊らされて、事件を探るようになるのですから。どうして、暦が扇のいうがままに踊らされるのかというのが良く分からないのですが、すごくいやな感じではあります。

謎解きといいますか、トリックは、まぁ西尾維新らしいものですね。

◇第二話 そだちリドル

勉強は今一つだけれども、数学だけはできるのが阿良々木暦の特徴ですが、かれがなぜ数学ができるのか、私立中学入学に挫折した彼が、どうして今の高校に行けたのか。

そこに関わったのが、老倉育ですが、彼女との中学時代の関わりからある謎を追うことになります。

こちらは、第一話よりも、謎解きの色合いが薄くなっている感じはします。

◆第三話 そだちロスト

これも老倉育が絡む物語り。というか、あまり阿良々木暦の歴史には関わっていないので、純粋に育個人の事件と言っていい感じです。

ただ、探偵は、今までの暦と扇ちゃんではなくって、我等が羽川翼ちゃんになります。

これは、結構分かりやすいです。ただ、分かりやすいのは、想像できるだけであって、証拠はまったくありません。

このエピソードにいたって、もうすっかり扇ちゃんは悪者ですね。あまりに、悪者なので、本当に彼女は悪者なのか怪しんでいます。感じが悪いです。

ただ、羽川ちゃんがいい感じなので、まぁ許せますが。(苦笑)

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ということで、この本のかき回し役は忍野扇ちゃんであることは確かなんですが、暦の物語りに見せかけながら完全に老倉育の物語りですね。

こういう新しい登場人物を出してきたので、書きすぎたんでしょうね。