Hn 「浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理」青柳碧人
講談社文庫  ISBN:978-4062773010

う~ん、『レンタルマギカ』は今日発売だったと思うのですが、通りがかりの本屋では見つけられませんでした。というか、スニーカー文庫自体を見つけられなかったんですが。

ということで、代わりに、結構ずっと読んでいるシリーズで、なぜか感想を書いていなかったこれの感想を書いておきます。

表紙は、ラノベ風ですが、しっかりと「講談社文庫」です。ラノベコーナーを探してもありません。(笑)

3と1/2ということですが、実質シリーズ4冊目です。なぜ3と1/2かというと、本来のシリーズの目的と少しずれた事件なのでということですかね。

ということで、感想行きます。

出版社からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:

渚、ついに「フェルマーの最終定理」に挑む!

数学好きの人間だけが集まった奇妙なリゾートホテル。そこには、莫大な遺産のかかった“謎”が隠されていた。

数学好きの人間だけが集まる奇妙なリゾートホテル“ホテル・ド・フェルマー”。

一ヵ月前に起きた密室殺人事件に挑むことになった浜村渚と武藤刑事らはホテルに隠されたもう一つの謎に出会う。それは前オーナーの莫大な遺産のかかった不可思議な「なぞなぞ」だった。

シリーズ初の長編が、文庫書下ろしで登場!

感想:

シリーズものの途中紹介なので、シリーズについて紹介しておきましょう。

◆「浜村渚の計算ノート」とは

心を尊重し他人をいつくしむような道徳性を育むというお題目で、日本では数学が悪とされ、学校教育から理系科目、特に数学教育が排除されてしまった。

そんな世界で、数学の復権を目指す人間たちが「黒の三角定規」という数学テロリスト集団をつくり、日本政府に数学教育の復活を求めてテロを起こしていた。

「黒の三角定規」の数学テロリストたちがテロに併せて出題する数学的な難問に、行き詰まった警視庁は、数学の天才女子中学生・浜村渚に協力を仰ぐ。

そして渚と「黒の三角定規」の数学テロリストたちの対決(?)が始まる。

◆シリーズの読み所

まぁ、内容的には、名探偵コナンや少年探偵団シリーズのように、大味な感じでそれが気になる人には向かないかもしれません。そういう意味では、ジュブナイルというか、ラノベというかそういう感じです。キャラクターが立っているので、キャラクター小説としても読めますし。

なので、恐らく本当の対象は、中学生辺りでしょう。元々が「講談社Birth」レーベルですし。

それでいてこれだけ人気が出ているのは、やはり数学的な演出でしょう。数学へのこだわりが゜並大抵のものではありません。登場人物の名前からサブタイトルの付け方、そして章の番号まで数学的な演出が施されています。

もちろん、ミステリなので、トリックなどもあるわけですが、それもすべて数学的なものです。まぁ、相手が数学テロリスト集団なので、当然ですよね。

そのこだわりが、受けているんだと思います。ただ、そうであっても、文系の自分が読んでも十分理解できる内容ですし、数学の扱いの部分は非常に面白いです。特に、数学の歴史のうんちく部分が最高に面白いです。

クイズとミステリが好きならば、文句なく読むべきでしょう。

◆ふえるま島の最終定理

この3と1/2さつ目は、シリーズ初の長編です。今までは、ずっと短編集もしくは、連作短編だったんですね。

そして、事件は、「黒の三角定規」が相手ではなく、“ホテル・ド・フェルマー”での事件が相手になります。

もちろん、今回の数学的なテーマは、「フェルマーの最終定理」です。全世界の優秀な数学者たちを長年悩ませづづけた難題である「フェルマーの最終定理」ですが、もちろんそんなことは理解できなくても、十分に楽しめます。

そして、満を持してだされた長編だけあって、構成もしっかりしていて非常に楽しめます。最初から最後まで、色々な部分に伏線やどんでん返しがあって、最後になるほど思わせてくれます。

ただ、大味なのは相変わらずなので、ピリピリとした緊迫感をミステリに求める方には合わないかもしれませんね。

そういう意味でも、やはり数学がちょっと苦手な中学生辺りにまず読んでほしいミステリですね。いや、読んでみようと思う方は、シリーズ最初から読むことをお勧めしておきます。

ただ、そうはいいつつも、「読者への挑戦」などがあって、ミステリ好きにも十分楽しめる内容だと思うので、試しに読んでみてください。

ちなみに、自分は、このシリーズでは目次が非常に楽しみだったりします。今回の目次も非常に楽しめました。(笑)