Zane 「残穢(ざんえ)」小野 不由美
新潮社 ISBN:978-4-10-397004-0

小野さん9年ぶりの新刊らしいです。9年ぶりということは、『くらのかみ』以来ということですか。あれはジュブナイルなので、一般書ならば『黒祠の島』以来ということですか、そうですか。

とはいえ、間に『ゴーストハント』のリライト本があったりしたのでそんなに空いた印象はなかったんですけれどね。

ただ、これが『黒祠の島』に続いてすぐ出版されたなら、売れなかったと思いますが、このタイミングならば売れるでしょうね。ハッキリ言って、『黒祠の島』は大失敗作だと思うし。

どちらにしても、小野さん、体調を崩されていたとかとも聞きますので、お体には気をつけてください。

ということで、感想行きます。

小野主上の本は、ほとんど読んでいると思います。後は、『中庭同盟』なんですが、どうしてもだめですか?出版してもらえませんか?

あらすじ:(Amazonの商品紹介から引用。公式はこちら

怨みを伴う死は「穢れ」となり、あらたな怪異の火種となるのか──。

畳を擦る音が聞こえる、いるはずのない赤ん坊の泣き声がする、何かが床下を這い廻る気 配がする。だからあの家には人が居着かない

──何の変哲もないマンションで起きる怪奇現象を調べるうち、浮き上がってきたある「土地」を巡る意外な真実。

著者九年ぶりの五〇〇枚書き下ろし、戦慄のドキュメンタリー・ホラー長編。

感想:

ん~、これはホラー小説ではありませんね。言うならば、「怪談」。もしくは、「都市伝説」。

9年ぶりということで、期待に胸踊らせて読んだのですが、ハッキリ言えば、外れでしょうか。『黒祠の島』も自分的には面白くなかったので、2連敗というところですか。

内容は、あらすじに書かれている通り、自分自身を主人公とし、本当に存在する作家たちを使って本当にあった事件のように描かれています。「ドキュメンタリータッチ」、「私小説」もくしは「メタミステリ」という感じでしょうか。

どうしてそういう形態にしたのかは、理由がさっぱり分かりません。ただ言えることは、その形態にしたために、客観的に怪異を描写するいわゆる「ホラー」小説ではなくなったということですね。

本人も作中で書かれていますが、伝聞を文章とするドキュメンタリーになっているというところですですか。もっと言い換えるとオカルトに付いて書かれた論文です。

エンターテイメントであるホラー小説とどこが違うのかというと、読者を怖がらせようという意志がその作中にあるかどうかということだと思います。

<以下、本の中身に言及している部分があります。ネタバレにはならないようにしますが、未読の方はご注意を>

この作品では、主人公である小野さんたちが、怪異に追い詰められて絶対絶命になるようなことはありません。後半、事件の連続性から、その怪異が自分たちの元に迫ろうとしているのではないか、と、訝しむ辺りぐらいでしょうか。

やはり、ホラーの醍醐味は、主人公が時間的でも地理的にでもいいのですが、追い詰められてピンチになり、それを乗り越える部分あると思っています。

この『残穢』には、そういった追い詰められたような危機感は演出されません。ただ、それだから怖くないかというと、じわっとくる怖さはありますが。

この内容ならば、主人公を第三者にして、その主人公たちに危機がせまるようにした方が、ホラー小説としては面白いと思いますけれど。『リング』などには、共通する内容だと思うので、ああいう展開でもいいと思いますが、どうでしょうか?

あ、でもレポート形式の『鬼談百景』とリンクしているんでしたっけね。なら難しいかも。