Hk1 今まで書いたおまけ記事には結構アクセスしていただいたので、調子に乗ってまた書いてみることにしました。

今までのおまけ記事は、ここにあります。

『氷菓』とミステリについて論じてみようかと(第1話終了時点)

『氷菓』とミステリについて論じてみようかと(その2)(第2話終了時点)

ということで、何について書こうかなと思っていたのですが、第4話の感想を書いているときに思いついた、フェアプレイについて書いてみようかなと思います。結構感想の中で書いてしまったかもしれませんが。

ポイントは、今回もアニメ版『氷菓』とミステリの表現の違いというか見せ方についてという感じでしょうかね。

ということで、行ってみます。

以下の内容は、あくまでも個人的な見解ですので、悪しからず。

今回のテーマは、「アニメと小説の見せ方の違いについて」その2です。

■『氷菓』とは

これまでのおまけ記事でも書きましたが、『氷菓』は「日常の謎」系のミステリというジャンルになります。これがこのアニメを見るポイントになりますので、これを前提にさせてください。ここがずれると後が続かなくなりますので。 

■ミステリと『氷菓』

で、『氷菓』のジャンルなのですが、これも以前書きましたが、日常の謎を論理的に解き明かす「本格ミステリ」だと考えています。

もちろん、謎の大小、論理的な部分の説得性など違いはありますが、形式美としては「本格」でしょう。この「本格ミステリ」だと考えるかどうかが、かなり大きなポイントになります。

「本格ミステリ」は論理的に謎が解かれないといけないため、良くフェアであるかアンフェアであるかという議論がされたりします。

ここでいうフェアというのは、論理的に謎を解くための情報、ヒントがすべて提示されているかということに繋がります。それが提示されていなくて、読者、視聴者が知り得ない情報で謎が解かれると、それはアンフェアということになります。

■アニメと『氷菓』

アニメ版『氷菓』の第4話の感想で少し書きましたが、実は、このフェアであることが、アニメでは結構難しいのかなと感じました。

謎解きの伏線やヒントが、アニメにすることで限られてくるのではないかということです。

Hk2 今回の謎解きのポイントになったのは、すべて文章です。文章をヒントにするからには、その文章を視聴者がしっかりと読めないとアンフェアになってしまいます。そのため、長い文章は出せませんし、画面展開が早いと視聴者が読むことができません。

今回で言えば、学長の学力重視宣言に気づいた視聴者が何人いたかということです。

もちろん、制作側の京都アニメーションもその辺りは十分分かっていて、文章のヒントとなる部分を強調したり、動きを付けたりして視聴者に印象づけてアンフェアにならないように上手く見せていました。ただ、逆にそういう工夫をしてしまうことで、紛れがなくなってしまいます。

するとどうなるか。視聴者が自分で考えるという楽しみがなくなってしまうんですよね。つまり、枝葉を刈り取って幹だけを見せているために、「本格ミステリ」としての体裁を保てなくなっているということです。

アニメと「本格ミステリ」

アニメだと小説よりも受動的にならざるを得ないためにそうなるのでしょうが、視聴者側が推理するという楽しみが小説よりも少ない気がします。

もし、エラリークイーンの国名シリーズをアニメ化したならば、「読者への挑戦」をどうアニメ化するんでしょうか。小説だとそこで、一回本を置いて、もしくは本を遡って読者が推理するわけですが、アニメだと時間が流れてしまうので、そうは行きません。

そういう意味では、「本格ミステリ」はあまりアニメと相性が良くないのかもしれません。というか、使える伏線に限りがあるということでしょうか。

ではどうするか。例えば、名探偵コナンなどでは、視覚的な証拠に限ったようなエピソードや、謎解きをアクションで補填したりすることで、ミステリの体裁を保っています。インスピレーションが謎解きのポイントになるといいますか。

■まとめ的なもの

ただ逆に言えば、視覚に訴えるような伏線、ヒントが入ったミステリはアニメに向いているとも言えます。当たり前ですが。

そうすると、この〈古典部〉シリーズは、どうしても論理というか屁理屈といいますかを展開することで謎解きをするミステリなので、アニメにはどうなのかということになります。

まぁ、それはこの先のエピソードを見ていただくとして、『愚者のエンドロール』などはまだアニメに向いているかもしれません。『クドリャフカの順番』は見せ方次第でしょうか。『遠まわりする雛』がひょっとすると、一番アニメ向きだったりして。

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ということで、だらだらと書いてきましたが、こういう辺りを注目してみていただけると、違った楽しみ方もできるのでは?いかがでしょうか。

ちょっとネタ切れ気味なので、次は『愚者のエンドロール』に入ってからにしましょうか。

アニメ版『氷菓』の通常感想はここ

■アニメ特別感想はここ

『氷菓』とミステリについて論じてみようかと
『氷菓』とミステリについて論じてみようかと(その2)
『氷菓』とミ ステリについて論じてみようかと(その3)

■小説〈古典部〉シリーズの感想はここ

「氷菓」の感想はここ
「愚者のエン ドロール」の感想はここ
「クドリャフ カの順番」の感想はここ
「遠まわりする雛」の感想はここ
「ふたりの距離の概算」の感想はここ

■ちなみに〈小市民〉シリーズの感想はここ

「春 限定いちごタルト事件」の感想はここ
「夏 期限定トロピカルパフェ事件」の感想はここ
「秋期限定栗 きんとん事件〈上〉」の感想はここ
「秋期限定栗 きんとん事件〈下〉」の感想はここ