Sj年ジュリエット」初野 晴 
角川書店 ISBN:978-4-04-874227-6-C0093

青春ミステリ、“ハルチカ”シリーズの第四弾です。米澤穂信さんの〈古典部〉シリーズがアニメになって注目されているので、恐らく同じような立ち位置のこのシリーズにも、もっと注目が集まるといいのですが。

やはり、前の『空想オルガン』が、シリーズ最終作という噂もありましたが、続編が出ました。良かった良かった。まだ、草壁先生の問題とか残っていますしね。

表紙は、少女が大写しになるパターンに戻りましたか。シリーズ当初の横長が好きだったんですけれどね。あと、文庫版のイラストの表紙よりも、こちらの方が圧倒的にいいですね。

ただ、このAKB風の制服はどうかなぁ。

ということで、感想行きます。

ということで、出版社から粗筋を引用しておきます。

あらすじ:

惜しくも普門館出場を逃したハルタとチカは、息つく暇もなく文化祭に突入した。

だが、吹奏楽部、アメリカ民謡部、演劇部と次々に問題が持ち上がり……。

大好評青春ミステリ“ハルチカ”シリーズ最新作!

感想:

さてさて、シリーズ最新作は、前作『空想オルガン』からそのままの続きですね。“ハルチカ”シリーズの詳細は、ここの辺りの記事に書きましたので、そこを見ていただくとしましょうか。

小説の中身は、今までのシリーズ通り、日常の謎系ミステリで、短編連作形式を採っています。探偵役は“ハルタ”で、ワトソン役がチカちゃんですね。

さてさて、“ハルチカ”の仲間たちも増え、いよいよ吹奏楽部としてきちんと形になってきています。全日本吹奏楽コンクールA部門での予選出場も狙えるよう になってきているのでしょう。ちなみにA部門が大編成、B部門が小編成です。全日本吹奏楽コンクールというと、通常はA部門がメインのような気がします。

シリーズとしては、一つ前の『空想オルガン』でひとまずの区切りだったかなと思ったのですが、この『千年ジュリエット』でも相変わらず「ONE PIECE」形式は続いていて、吹奏楽部の新メンバーが増えていますね。恐らくベースでしょうね。吹奏楽では、基本ウッドベースだと思いますが、エレキからでもまぁありでしょう。

ただ全体としては、“ハルチカ”が脇役っぽくなってしまっているので、ちょっと残念。

ということで、連作短編なので、それぞれの短編の感想を書くことにします。

「エデンの谷」

残っていた草壁先生の秘密について言及されています。でも、結局指揮者をやめた理由は明確になっていませんよね。

吹奏楽部の新メンバーとして、指導者側に一人追加です。登場する楽器が面白かったです。そういう考えもあるんだなという感じ。

ミステリとしては、謎解きよりもどんでん返しに重心が掛かっており、それがびっくりではなく気持ちいいという感じのお話です。

ご贔屓の芹澤直子ちゃんが目立ったのがちょっと嬉しい。

「失踪ヘビーロッカー」

こういうお話しもあるかもという感想ですね。

ミステリで言うとマクベイン風(?)に、視点が行き来するのが面白いといえばそうなんですが、やはりチカちゃんの一人称が一番好きですね。

ミステリとしては、謎解きというよりも、事件物っぽい感じ。

「決闘戯曲」

吹奏楽部のお話しではなく、「退出ゲーム」に続き再び演劇部がメインになるお話です。

謎は、演劇部が学園祭で演じるはずの劇の脚本が、未完成であることからそのラストをハルタが推理するというもの。あれ?『禺者のエンドロール』と同じ設定ですね。

なるほどねとは思うけれど、自分が見た推理劇の謎解きがこれだと、ちょっといやかな?(苦笑)

◇千年ジュリエット

表題作で、一連の短編がここに集約するという、まぁ連作短編のパターンラストという感じではありますね。

ラストということで、『空想オルガン』と同じように、第三者が“ハルチカ”たちというか、清水南高にどう絡んでいくかという部分が楽しめました。

ただ、キャラクター小説としては楽しめましたが、ミステリとしてはあまり印象に残っていない感じ。

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自分としては、“ハルチカ”を始めとする吹奏楽部があまり活躍しないこともあって、いま一つ楽しめなかった感じがあります。

ただ、シリーズをずっと読んできていると、サブキャラにも思い入れができてくるので、それなりには楽しめましたが。

小説としては、今までのシリーズというか、『空想オルガン』の方が上かな?

早く、続きとして、吹奏楽部が部として活動する中でのミステリがよみたいなぁ。