Hyou2 ということで(?)、この春アニメの目玉と考えている『氷菓』が始まりました。

あちこちの感想を見させていただいていると、色々と疑問を持たれている方もいらっしゃるようですね。ということで、気になりましたので、ちょっと『氷菓』とミステリについて論じてみようかと思います。(第1話終了時点です)

まぁ、自分としては、元々アニメオタクの割合いよりも、ミステリオタクの割合いの方が大きかった人間なので、その辺りは特に語りたいところでもあったりします。

『氷菓』を始めとする原作の〈古典部〉シリーズについては、感想も書いているのでそちらを見ていただいた方がいいと思いますが、もう少し広い視点で書いてみようかと思います。

原作の感想はこの辺り

ということで、行ってみましょうか。

■前置き

まず、〈古典部〉シリーズですが、原作は米澤穂信さんの小説です。最初の二冊は元々ラノベブランドで出版されたこともあって、読みやすいシリーズになっています。
出版順でいきますと、こんな感じになります。(リンクは感想記事)

「氷菓」
「愚者のエン ドロール」
「クドリャフ カの順番」
「遠まわりする雛」
「ふたりの距離の概算」

しかし、時系列的に行くと、「遠まわりする雛」が時系列的に『氷菓』から『クドリャフカの順番』までを含むというかまたぐ短編集のために、アニメでは若干シャッフルされるようですね。

■ミステリとしての〈古典部〉シリーズ

『氷菓』はミステリというジャンル小説になります。ただ、一言でミステリといっても、ジャンルとしては非常に大きくて、色々な要素を含んでいます。ならば、細分化されたミステリのジャンルの中で、何にあたるかというとこんな感じでしょうか。

・日常の謎系
・安楽椅子探偵
・本格ミステリ
・青春ミステリ

この中で、一番良く言われるのが「日常の謎系」のミステリという感じでしょうか。

■日常の謎系ミステリとは

「日常の謎」系のミステリとは、殺人事件やいわゆる犯罪に謎の重心を置いて、その犯罪を解きあかすという感じのものではなく、日常のちょっとした出来事に謎を見いだすものです。

この形式のミステリは、東京創元社が得意とするとも言われていますが、それは直木賞作家でもある北村 薫先生の『空飛ぶ馬』が評判になったからなんですね。これは傑作なので、是非読んでほしいところです。

さて、「日常の謎」ということなので、日常にあるちょっとした出来事に謎を見いだして、それを論理的に説き明かすという形式になります。論理的に謎を解かなければ、ミステリにならないのですが、謎は必ずしも犯罪や学園の七不思議のようなオカルト的なものである必要はありません。

自分は、「日常の謎」では、『空飛ぶ馬』の「砂糖合戦」がベストだと思っているんですが、それは、コーヒーに入れる砂糖にまつわる謎です。

ただ、そういった系統なので、当然派手さには欠けます。なので、シリーズが続くと、どうしても日常の謎から犯罪にシフトする傾向があるようですね。

■謎の解明について

ところで、「日常の謎」は犯罪を扱うわけではないので、犯人を見つけて告発することを目的とするわけではありません。もちろん、そういうものもありますが。

ならば、この『氷菓』では、何を目的に謎を解明するのかというと、千反田えるちゃんの

「わたし、気になります」(「わたし」はひらがなです)

に答えることなんですね。なので、彼女が納得すれば、それが真実でなくてもいいわけです。

第1話のBパートの謎は、その典型ですね。原作ですと『遠まわりする雛』の冒頭の「やるべきことなら手短に」なんですが、あれは真実でもなんでもないですし、おまけについてくる音楽室の謎も解明したわけではありませんよね。

Hyou1 ■『氷菓』はどう視聴すべきか

ミステリとしては、奉太郎がえるちゃんの「わたし、気になります」にどう答えるのか、彼女をどう納得させるかが見どころになります。本格ミステリの系譜でもあるので、謎は論理によって説明されます。それがえるちゃんを納得させられるかがポイントですね。

また、省エネ主義の奉太郎なので、足で証拠を集めたりはしません。主に目の前にある事実を基に、どう論理を組み立てて行くのかを楽しむのもいいでしょう。屁理屈にも見えるその論理の展開部分、アニメにはなかなかマッチしないと思うのですが、それをどう見せてくれるのかも楽しみです。第1話でも色々な演出がありましたが。

その他、青春ミステリの側面もありますので、高校生である〈古典部〉の面々の関係が、その日常の謎の謎によってどう展開していくのかも見どころになります。

事件が起きて、探偵役の奉太郎が動き回ることを期待すると肩すかしにあいますが、その他のメンバーは、それほど省エネ主義ではないので、そのうちきっと派手っぽいお話も出てくるでしょう。(笑)

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まぁ、当然これは個人的な意見なので、それ以外の見方をされても全然構いません。自分なりの楽しみ方をすればOKですね。

ということで、2話以降も楽しみですね。

アニメ版『氷菓』の感想はこの辺り

『氷菓』とミステリについて論じてみようかと(その2)も書きました