P_2 「南極点のピアピア動画」野尻抱介
ハヤカワ文庫JA ISBN:978-4-15-031058-5

2月に出版されて、ずっと読もう読もうと思っていたんですが、ちょっと恥ずかしくて遅くなりました。というか、少女マンガでも平気で変える自分に恥ずかしいという感情があったとは。

最近ハヤカワ文庫JAは、ラノベ、サブカル辺りの刈り取りを狙っていますね。SFジャンルだと相性がいいんでしょう。

ということで、野尻抱介さんですけれど、もともとは、ラノベからハードSFまで書ける作家ということだったような気がしますが、最近ではすっかり「ニコニコ動画」の「尻P」の方が有名なようです。(笑)

幸いにも(?)、自分は野尻では『ロケットガール』しか知りませんでしたが、ちょっと「初音ミク」っぽい(苦笑)表紙とSFマガジンの宣伝に釣られて買ってしまいました。

ということで、よくは分かりませんが「違和感仕事しろ!」ということで、表紙のわりにはしっかりとしたSFのようです。

まずは、出版社からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:

「ニコニコ動画」と「初音ミク」と宇宙開発の清く正しい未来を描く星雲賞受賞の傑作。

日本の次期月探査計画に関わっていた大学院生・蓮見省一の夢は、彗星が月面に衝突した瞬間に潰え、恋人の奈美までが彼のもとを去った。

省一はただ、奈美への愛をボーカロイドの小隅レイに歌わせ、ピアピア動画にアップロードするしかなかった。

しかし、月からの放出物が地球に双極ジェットを形成することが判明、ピアピア技術部による“宇宙男プロジェクト”が開始される……

ネットと宇宙開発の未来を描く4篇収録の連作集

感想:

勿論、ネットでBLOGをご覧になられている方で、とくにうちのような場末のBLOGをご覧になられている方は、とうぜんこの「ピアピア動画」が「ニコニコ動画」、「小隅レイ」が「初音ミク」のパロディというかオマージュであることは、すぐお分かりになると思います。

まぁ実際ここまであからさまに書くのであれば、何も名前を変えずともそのまま使ったほうが、逆に問題がなかったんではないかと思えるほどです。

実際に物語では、ほぼ現実の「ニコニコ動画」と「初音ミク」、そしてそのファンダムに沿ったような展開がなされます。というか、SFなので実際にはありえないようなお話なのですが、「ニコニコ動画」もとい「ピアピア動画」でこういう展開がなされると、実現してしまいそうというほど筋の通ったお話に仕上がっています。素敵ですね。

中身は、ハヤカワSFマガジンに掲載された短編3本と、書き下ろし1本です。

SFとしては、冒頭の「南極点のピアピア動画」が一番出来がよいと思います。ハードSFしていますよね。また、「ピアピア動画」との絡みも分かりやすく書かれているのでよいのではないでしょうか。

ただ、「ニコニコ動画」へのオマージュとするならば、やはり「コンビニエンスなピアピア動画」でしょう。某コンビニの入店音がネタですし。

また、「初音ミク」ならば、やはり「星間文明とピアピア動画」でしょう。他の物語は、直接彼女が関係してくるわけではありませんが、この短編は彼女のための短編でしょう。

まぁ、「ニコニコ動画」、「初音ミク」、「ハードSF」のどれかが好きならば楽しめる一冊だと思います。