I 「いわゆる天使の文化祭」似鳥 鶏
創元推理文庫(M) ISBN:978-4-488-47305-1

かなり忙しいです。正月までに更新ブログ更新できるでしょうか?

それはさておき、結局「葉山君シリーズ」でいいんでしょうか?(苦笑)

シリーズの新刊です。この前の「まもなく電車が出現します」が出るまで、2年近く掛かったのですが、今回は半年経たずに新刊の登場です。喜ばしい限りです。

名探偵役の伊神先輩が卒業してしまったために、ちょっとシリーズとしては見せ方が難しいとは思いますが、この前の短編集が結構面白かったので期待しています。

似鳥 鶏さんは、恐らくは東京創元社が第二の米沢 穂信にしたがっていると思われるのですが、どうなんでしょう。キャラクター的にどうも弱い気がしますが、「まもなく電車が出現します」では葉山君の自我が少し出てきた感じがします。

その辺りを期待しながら読みたいと思います。

ひとまず出版社からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:出版社から引用)

夏休みも終わりにさしかかった文化祭目前のある日、準備に熱の入る生徒たちが登校すると、目つきの悪いピンクのペンギンとも天使ともつかないイラストが描 かれた、大量の貼り紙が目に飛び込んできた。

部活にちなんだ様々な恰好の〈天使〉の貼り紙を不思議に思いつつも、手の込んだ悪戯かと気を抜いていた葉山君 だったが──。

波瀾万丈で事件に満ちた、コミカルな学園ミステリ・シリーズ第四弾。

感想:

なるほど。ちょっと変化球ですね。それなりに面白かったけれど。

なので、早々に注意事項を書いておきます。

<以下、本 の中身に言及している部分があります。ネタバレはしないつもりですが未読の方はご注意を>

今回は、ちょっと構成に仕掛けがある内容になっています。叙述トリックといえばそうなのかもしれませんが、作者もそれで最後まで引っ張るつもりはないですよね。どんでん返しではなく、中盤でばれますし。

気になったのは、犯人の動機です。そんな動機で、こういう事件を起こすでしょうか?

まぁ、それは置いておいて、ミステリとしてはちょっと冗長ですね。半分ぐらいの長さでまとめれば、もっとメリハリがついて面白かったとは思いますが。それか、もう一つ事件を起こすか。

で、青春日常推理としては、葉山君の成長がポイントになってきます。この前の「まもなく電車が出現します」で少し積極性が出てきた葉山君ですが、今回も自分から事件に向かっていくなど、結構成長が見られますね。

もう一つ、柳瀬さんとの間ですが、そこにも結構進展が。自分としては、「まもなく電車が出現します」の入谷さんにシンクロしてしまったので、ちょっと悔しいところもあるんですが。彼女もう出てこないのかなぁ。

ただ、翠ちゃんといい、奏ちゃんといい、葉山君モテますからね。

さてさて、叙述トリックのためとはいえ、1年後の姿を描いてしまったので、この先のシリーズの進め方が難しくなったのではないかと心配です。もちろん、伊神先輩が健在なので大丈夫でしょうけれど。

「さよならの次にくる」の感想はここ

「まもなく電車が出現します」の感想はここ

「放課後探偵団」の感想はここ