G 「GOSICKVIII下 ―ゴシック・神々の黄昏―」桜庭一樹
角川文庫 ISBN:978-4-04-428124-3-C0193

アニメもどうやら好評のうちに終了した『GOSICK』の最終刊です。7/23発売でした。

本当は、もう少しゆっくり感想を書きたいのですが、引越しが控えているので、書く時間が採れるかどうか分からないで、先に書いておくことにします。

それはそうと、アニメの最終回はどうやら評判が良かったようですね。うちのブログの感想記事も、アクセス数が爆発していました。相対的には、感動的だったと感じられた方が多かったようです。自分もあのラストは納得派です。

さて、それはさておき、感想にいきます。

とりあえず、あらすじを出版社ページから引用&改訂します。

あらす じ:

幽閉されていたヴィクトリカは、母コルデリアの身代わり計画により脱出。

一方徴兵された一弥は、ある日の敵襲で……。

二人に再会の日は訪れるのか!?大人気ミステリ、感動の大団円!!
 

感想:

とりあえず、現実の世界との時系列のずれは、もう気にしないことにしました。(笑)

ということで、GOSICKのラストエピソードです。アニメで行くと、ラスト24話辺りにあたる部分ですか。

アニメでは、そのラストはオリジナルと言われていました。ただ、上巻の流れは、大きくはアニメと似ていたので、やはり構成については、意識合わせが出来ていたんでしょう。

そして、下巻でも、その大きな流れは変わっていませんでした。アニメと同じですね。

<以下、本の中身に言及している部分があります。未読の方はご注意を>

上巻でも書きましたが、結果を言えば、アニメと大筋ではずれていない気がします。提示の仕方はそれぞれ違いますが、大きな流れは同じですよね。

ただ、大きく違ったのは、コルデリア・ギャロとブロア公爵の部分でしょうか。結局、決着はついていない。アニメ版は、はっきりとは見せていませんが決着はつきましたし、ブライアン・ロスコーの扱いも納得いくものでした。

というか、灰色オオカミの扱い自体が、アニメとは全く異なっていました。だからといって物語には大きく影響を与えないんでしょうけれど、小説だけでも、そこを気にしだすと、読後感とか背景とかが全く違ってきますよね。ましてや、アニメと比べると、テーマが別物ってことにもなりかねません。もちろん、別に気にせずに読んでも、問題はないんですよね。

とはいえ、これは、GOSICKs IV ―ゴシックエス・冬のサクリファイス―「第五話 忠臣たち」につながるわけですね。この要素は、ほとんどアニメには出てこなかったし、『サクリファ』を読んだ時点では、まさかあれが意味のある短編になるとは思いませんでした。う~ん、いや、意味はないのかも。(苦笑)

ところで、もう一つ原作との違いといえば、ジュピター・ロジェですね。彼が、アニメ版の最後では、すごく機能していて、つじつまを合わせていた(無理やり)のですが、原作側ではそういう立ち回りの人物がいません。そのため、ヴィクトリカが自分で頑張るわけですね。なるほど、久城が渡したあれは、それだったんですね。上巻で見せた、ヴィクトリカの凄惨とも言える決意が、この頑張りにつながるのには、ちょっと感動しました。

しかし、んん~、難しいですね。先にアニメを見てしまって、それでストーンと憑き物が落ちてしまっているので、どうしても物足りなさを感じてしまいます。悪くはないんですが、アニメ版でハードルが上がってしまったというか、ちょっと違うものが読みたかったというのが正しいのでしょう。

先に書いた、灰色オオカミの位置づけと、エピローグでその差を見せようというのが、桜庭さんの考えかもしれません。ただ、あの綺麗なアニメ版の映像付きラストを見てしまうと、小説のエピローグは、ちょっと蛇足のような気がします。

いっそのこと、もう少し捻ったエピローグでも良かったかな?それとも、エピローグはなしの方が・・・。あと、アブリル他の登場人物たちにも決着を・・・と、それは番外編かな?

とりあえず、桜庭先生、ご苦労様でした。

小説版『GOSICK -ゴシック-』の感想はここ

アニメ版『GOSICK -ゴシック-』の感想はここ