G 「ゴーストハント (5) 鮮血の迷宮」小野 不由美
メディアファクトリー 幽BOOKS ISBN:978-4-8401-3978-6

あぁぁぁ、7/15発売でしたっけ?う~ん、フラゲして発売日には読み終わってしまった。(泣)もったいないなぁ、本当に。

さて、11月から始まりました隔月刊行、講談社X文庫ティーンズハート版『悪霊シリーズ』のリライト版「ゴーストハント」の5巻目です。

この5巻目は、『悪霊シリーズ』で行くと『悪霊になりたくない!』で、コミックスでは6~7巻で、サブタイトルは「血塗られた迷宮」です。アニメも 同じタイトルです。サブタイトルは、コミックス/アニメ版の方がいい感じですね。

この5巻は、元にしても、コミックスもアニメでも、最も評判のいいお話しです。なので、かなり楽しみですね。

ということで、「ゴーストハント(5) 鮮血の迷宮」感想行きます。

恒例の、講談社X文庫ティーンズハート版との比較は、出張で家に帰られないのでちょっと待ってね。(追記しました)

講談社X文庫ティーンズハート版、漫画版、アニメ版とフルコンプリートです。

あらすじ:(出版社特設サイトから引用)

増改築を繰り返した結果、迷路のような構造を持つにいたった巨大な洋館。

長年放置されていたその館は、地元では幽霊屋敷として名高く、中に入った者が行方不明になる事件が連続して起こる。この館を調査するため、二十名もの霊能者たちが召集された。

SPRの一員として館の内部を精査していた麻衣たちは、あちこちに不審な空洞があることに気がついた。

次々に姿を消してゆく霊能者たち。やがて明らかにされる、館の血塗られた過去。そして新たな行方不明者が——。

感想:

今回の表紙は金色です。一体残りは何色になるのやら。裏表紙が少年で、良く見るとSPR・渋谷サイキックリサーチ(Shibuya Psychic Research)のメインメンバーが一人も表紙にいないんですね。(汗)

先にも書きましたが、この「鮮血の迷宮」は、シリーズ中最も面白く、しかも怖いという評判のエピソードなのですが、リライトされてどうだったでしょうか。

『ゴーストハント』の感想でいつも書いていることなんですが、ゴーストハントシリーズは、"オカルト"とか"ゴシックホラー"とか言いながら、実はミステリー仕立てです。それは、提示されたヒント、伏線を使ってその怪異現象の元を探り、事件を解決するという形式に現れていますね。単に発生する怪異にぶち当たっていくという物語とは一線を画しています。

ただ、シリーズが進んでいくにつれて、その解決が論理的な部分から乖離し始めている感じがあります。それは、やはり、麻衣の能力に依存する部分が大きいのでしょう。

彼女の能力は非常に便利で、行き詰まったり、方向性を誤ったりしているときには、彼女の能力で解決への道標が示されます。ただ、4巻までは、その能力にSPRも麻衣自身も懐疑的だったので、すぐに解答として明示されることはなく、逆に混迷の元になったりしていました。

ただ、この5巻にもなるとSPRも麻衣自身もその能力を認識しており、さらにはその能力が発揮されることを期待されるまでになっています。これでは、謎解きにはなりません。

そこで工夫がされることになります。彼女の能力発現の仕方を変えたんですね。もちろん、対象にしているのは、あの中盤の麻衣の夢のことです。

『ゴーストハント』ですが、一応注記をいれます。

<以下、本の中身に言及している部分があります。ネタバレにはならないようにしますが、未読の方はご注意を>

今回は、麻衣の能力が発揮されるときには必ず現れていた白ナルは登場せずに、過去の事件の追体験として麻衣の能力が発揮されます。白ナルは麻衣を守ったり、事件のヒントを与えるために登場しているので、その彼が現れないということは、事件解決へのヒントではないことになります。

そう、麻衣の夢が今までの1~4巻通りに白ナルが与えてくれるヒントだと読者が思って読むことを期待した仕掛けだったんですね。

ほら白ナルが助けに来るぞとか思いながら読んでいると、それがなくドンドン麻衣が追い込まれていくので、意表を突かれて恐怖が倍増するという仕掛けです。上手いですね。

白ナルは、別の場面で登場するので、あの場面では麻衣の本当のピンチではなかったということになるのでしょう。

さて、結局今回は実は謎というのは、「Who done it.」です。一応それについては、森さんと少年の調査で明らかになりますが、おまけのようなものですよね。方法なんて説明のない超自然的なものですから考えても仕方がありませんし。

なので、やはり先の仕掛けにもあるように、この巻は怖がらせることの方に重きが置かれていると思います。

ただ、その分だけか、以前読んだときほどは怖くないんですよね。実際、そのためかSPRの面々が活躍するということはほとんどなく、どちらかというと表紙にあるように集められた霊能者が追い詰められていくことの方に重きが置かれているからかもしれません。

リライトでどこかが厚くなったということも感じなかったし。その辺りは、比較して確かめてみたいと思います。

<この辺りに『悪霊シリーズ』との比較を追記します。

う~ん、そんなに大きな違いが感じられないですね。バランス的に前半が厚くなっている気がしますが、家を捜索する部分が厚くなっているのでしょうか。

もともと、出来が良いというか、ページ数的にも多いので、リライトがあまりなかったのかも。

大きく気付いたのは、SPRの機械が古いのを修正している部分でしょうか。フロッピィを使っているとか、録画時間とか。

あと、マンガと辻褄が合わない部分を若干修正しているようですね。

ここまで

ということで、シリーズも折り返して、残りが少なくなってきました。次は、SPR皆が活躍するということで、シリーズでは評判が良いお話しだと思いますので、期待したいと思います。

新版「ゴーストハント」の感想はここ

「ゴーストハント(1) 旧校舎怪談」の感想はここ
「ゴーストハント(2) 人形の檻」の感想はここ
「ゴーストハント(3) 乙女ノ祈リ」の感想はここ
「ゴーストハント(4) 死霊遊戯」の感想はここ

漫画版の感想はこの辺り
アニメ版の感想はこの辺り