U 「羽州ものがたり」菅野雪虫
角川書店 ISBN:978-4048741682

今日は、本当は『はやて×ブレード』の14巻の感想を書こうと思っていたんですが、発売が8月に延期ということらしいです。(号泣) 最初に行った本屋が店頭品切れなんていうから探してしまいました。次の本屋は、Amazonさんでは発売中になっていると、必死に探してくれましたが、延期じゃ見つからないですね。

ということで、出版から半年経ってしまいましたが、菅野雪虫さんの新刊『羽州ものがたり』の感想で、穴埋めしたいと思います。「羽州」ということからお分かりのように、今回は日本が舞台です。羽州とは、出羽の国のことだと思うので、山形県から秋田県辺りが舞台ということでしょうか。

時代としては、873年、「元慶の乱」が舞台です。坂上 田村麻呂の蝦夷征伐の直後、平安末期ですか。

ということで、感想行きます。

出版からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:

ひとつしか瞳をもたない鷹のアキと暮らす少女・ムメは、都から来たばかりの少年・春名丸と出会った。それが縁で春名丸の父親・小野春風にさまざまなことを教わるムメ。

やがて見違えるような娘へと育ったムメは、春名丸との友情をはぐくんでいく。

だがそのころ、羽州では都に対する戦いが起きようとしていて ―!!

それが、東北の地、羽州で起きた「元慶の乱」のはじまりだった。

感想:

「天山の巫女ソニン」とは違い、史実にある争いを舞台にしています。なので、実際に歴史に名を刻んでいる小野 春風などが登場します。そこがまず大きな違いですね。

ただ、その偉大な人物たちが主人公ではなく、その舞台裏で歴史に翻弄された少年少女たちが主人公になります。「銀のさじ」シリーズは、あくまでもジュブナイルですからね。

一番の主人公は、「ソニン」同様に少女が配置されています。「ムメ」ですね。

「ムメ」は、ソニンのようにいい子ではありますが、ちょっと底が浅いというか、あまり複雑ではないです。その他にも少年カラスとか、春名丸という少年もちょっと薄い感じがします。

菅野雪虫さんというと、優しい視点の物語が特徴ですが、その優しさがどうも印象を薄くするって感じですか。もう少し、分量を増やし細かいエピソードを加えて、辛い部分もきちんと描写して、心情の機微を描ければもっと良くなったんではないでしょうか。

例えば、カラスがその力を振るう場面をきちんと描写するとか、「ムメ」がピンチになるとか。どうも「元慶の乱」を追いかけることとのバランスが悪いのかな。

ただ、全体としては、面白いです。「元慶の乱」を追いかけると書きましたが、舞台となった人々の姿がいいかんじです。元気になれます。

この時代の小説をあまり読んだことがなかったこともありますし、「ムメ」という少女の視点で描かれるのも珍しかったのかも。

リーダビリティも高いですし、菅野雪虫は力のある方だと思いますので、もっと対象年齢を上げた物語も読んでみたいです。ただ、それだとあの優しい印象が薄くなるのかな。

「天山の巫女ソニン 五 大地の翼」の感想はこちら
「天山の巫女ソニン 四 夢の白鷺」の感想はこちら