「GOSICKs IV ―ゴシックエス・冬のサクリファイス―」桜庭一樹
角川文庫 ISBN:978-4-04-428119-9-C0193
アニメも終盤が近づいた『GOSICK』の最新刊です。
本当は、『涼宮ハルヒの驚愕』の感想を書きたいのですが、うちにはまだ届いていないんですよ。24日に届いているところもあるみたいなのに。(泣) しかし、『涼宮ハルヒの分裂』の記事アクセス数が急に増えている。
それはそうと、この『GOSICKs IV』も角川文庫版です。つまり、武田 日向さんのイラストも桜庭さんの愉しいあとがきもないやつです。今、角川ビーンズ文庫で、イラスト、あとがき付きで再販が始まっていますが、この角川文庫だけで発売されたものはどうなるんでしょう。
イラストはつけてくれるとして、桜庭さんのあとがきは追加されるんですかね。気になります。
ということで、感想行きます。
とりあえず、あらすじを出版社ページから引用&改訂します。
あらす じ:
聖なるその日、雪の午後に明かされるそれぞれの「秘密」
--警部グレヴィールのせつない初恋、ヴィクトリカの“ライ
バル”アブリルに向ける思い……
名コンビ最後の平和な日々と来るべき嵐の予感を描く連作集。
感想:
ということで、GOSICKsなので、短編集なのです。
今回は、謎解きというよりも、今までのヴィクトリカちゃんとその周辺の穴埋めと、最終巻に向けての予兆を示す回でした。なので、短編集だからと言っても『GOSICK VII』の次ぎということで順番に読んで欲しいですね。
全般としては、「薔薇色の人生」に続く、クリスマスの一日を描いたものです。
ひとまず、各短編ごとに感想を書いてみます。
◆プロローグ
全体を通してのテーマの一つチェスをヴィクトリカを一人でやる様子を描いたもの。プロローグにありがちな文庫追加らしいですが、これが全体の雰囲気を作っています。
◇第一話 白の女王(クイーン)は君臨する
『GOSICKIII ―ゴシック・青い薔薇の下で―』にあったエピソード(アニメだと第11話「そのドリルは雄弁に愛を語る」)の補填版です。なので、特に新しい謎解きはなし。
ジャクリーヌとブロワ警部のエピソード。なかなかいい感じ。特に、ジャクリーヌとセシル先生が。(笑)
◆第二話 黒の僧侶(ビショップ)は祈りを捧げる
アニメではほとんど登場しない、イアンとエバンがどうして手をつなぐことになったかを描いたお話し。謎解きはありますが、まぁ誰にでも当たる答えですね。
◇第三話 黒の女戦士は駆け抜ける
アブリルが登場します。アブリルとヴィクトリカの関係は、いい感じですね。ブロワ警部のビスク・ドール収集趣味がどうして始まったのかが描かれています。
謎解きは、これが一番面白かったです。な~んだという内容ではありますが。一番短編ミステリっぽいですね。
そして、学園に暗い影が落ち始めます。
◆第四話 騎士(ナイト)はちいさな姫にかしずく
ブライアン・ロスコーとアルベール・ド・ブロワ侯爵の関係を描きながら、ヴィクトリカの誕生から学園に来るまでを描きます。
謎解きは、メインテーマには据えられていません。ただ、アレはちょっと無理があるかなぁ。別の人も絶対に引っかかると思うんですが。
◇第五話 忠臣たち
書き下ろし。
プロローグに対応した、ちょっとファンタジー仕立てのおまけエピソード。面白いけれど、なくてもよいかな。
◆エピローグ
恐らくは、長編の『GOSICK VIII』に繋がるエピソードなんでしょう。舞台は学園になるのかな?なら、これを読んでいないと、ちょっと繋がりにくいかも。
気になったのは、アブリルの台詞。「叶える人も、いるんじゃないかな」ですね。これは、何を指しているのかなぁ。
ところで、ルークは「城」ではなくて「戦車」なんですかねぇ。キャスリングからすると、「城」のイメージだったんですが、この本では「戦車」になっています。間違っていたのかな?