「ゴーストハント(3) 乙女ノ祈リ」小野
不由美
メディアファクトリー 幽BOOKS ISBN:978-4-8401-3862-8
連休ということで、本拠地大阪に戻っています。
11月から始まりました隔月刊行、講談社X文庫ティーンズハート版『悪霊シリーズ』のリライト版「ゴーストハント」の3巻目です。
この3巻目は、『悪霊シリーズ』で行くと『悪霊がいっぱいで眠れない』です。コミックスでも3巻で、サブタイトルは「放課後の呪者」です。アニメも同じタイトルですね。ちょっと、コミックスのサブタイトルは、ネタバレ気味ですか。この新装版のサブタイトルは、秀逸だと思います。
さて、「人形の檻」からミステリよりもオカルト色がと書きましたが、この「乙女ノ祈リ」は、どうなんでしょうか。
ということで、「ゴーストハント(3) 乙女ノ祈リ」感想行きます。
講談社X文庫ティーンズハート版、漫画版、アニメ版とフルコンプリートです。
あらすじ:(出版社特設サイトから引用)
狐狗狸さんによる狐憑き、美術準備室に出る幽霊、部室のポルターガイスト現象、坐ると事故に遭う席。SPRへの立て続けの依頼は、すべて女子高・私立湯浅高校のものだった。
学校へ赴いたナルたちは、超能力を使うという少女に出会う。彼女が放った呪いの言葉とは?
異常現象の原因を追うナルと麻衣の前に立ちはだかる、何者かの邪悪な意志!
感想:
う~ん、この配色はどうなんだろう。それに1~3巻まで並べると、どういう印象なんでしょう。今、1、2巻が手元に無いんで気になるなぁ。ちょっと頂けない色合いになっていそうな。(汗)
ただし、裏表紙の真砂子はなかなかですが。(汗)
この3巻の元となった『悪霊がいっぱいで眠れない』は、依然呼んだ時の印象では、シリーズの中で、一番印象が薄いって感じでした。それは、渋谷サイキックリサーチ(Shibuya Psychic Research)が、というか麻衣ちゃんが直接事件に組み込まれないからでしょうね。なので、最後の方のあのシーンは、非常に面白かったです。
これと、ナルがにらめっこしている部分以外は、さほど印象に残っていないんですよ。この3巻。ときどき、4巻とまぜこぜになって混乱してしまうくらいです。
ただし、あのシーンにしても、ナルが、麻衣がさほど追い詰められた緊張感を発していないため、それほど怖くは無いんですよね。もともとのティーンズハートのイラストが、雰囲気を壊していたという噂もありましたが。
メディアファクトリーのあらすじだと、この後に「ミステリー色濃厚なシリーズ第3作」という文章が書かれています。
なるほど、この作品は、シリーズの中でも一番本格ミステリに寄った作品かもしれません。
犯人が誰か、そしてその犯人を確定するに至った理由が、かなり理詰めで語られていますから。ただ、犯人以外の容疑者を除外する根拠がないんですけれどね。
それでも、ティーンズハート版よりも、前半の構成を厚くして、犯人に至る根拠のような伏線をきっちりと展開しているように思えます。最後の章に入るまでに、新装版では、章が一つ増えています。「どう変わったのか?」はご自分で確認していただきたいのですが、それだけ伏線がきっちりと張られたと考えてよろしいのではないでしょうか。
そういう意味では、ミステリとしては面白いんでしょうが、ただ、オカルト・ホラーとしては若干喰い足りないのが本当の気持ちでしょう。
ただ、次はもう少し面白いというか、あの人の登場で盛り上がるでしょう。(苦笑)
◆「ゴースト
ハント(1) 旧校舎怪談」の感想はここ
◇「ゴースト
ハント(2) 人形の檻」の感想はここ