B 「“文学少女”と恋する挿話集(エピソード)  4」 野村 美月
ファミ通文庫(エンターブレイン) ISBN:978-4047269606

映画に、コミックスやその他関連書籍、オリジナルDVDなども含めて、ものすごいマルチメディア展開っぷりの「文学少女」ですが、「挿話集」の短編集は、どうやらこれで打ち止めのようです。長編も次回「半熟作家と“文学少女”な編集者(ミューズ)」で終わりとのことなので、いよいよ大詰めです。

本編が終わってからも長かったですが、それも色々とまぁ楽しめました。コミックスで読まれている方は、まだまだ続きがあるようですが、自分は小説しか読んでいないので、これで線引きです。まぁ、OVAの感想は一部だけ書いているので補填するかもしれませんが。

ということで、“文学少女”シリーズの新刊、感想行きますです。表紙は美羽ですね。

例によって、あらすじを出版社から引用します。

あらすじ:

ビター&スイートな挿話集、第4弾!

「心葉先輩、大発見です~~!」文芸部に飛び込んできた菜乃の"発見"とは?『"文学少女"見習いの、発見。』、部室に いつの間にか置かれていた薔薇の模様の指輪。これは誰かから遠子へのプロポーズ!? 

謎を探る遠子とそれに振り回される心葉だったが……

『"文学少女"と 騒がしい恋人たち【ラヴァーズ】』ほか、甘くほろ苦いエピソードが満載! 

美羽、ななせ、遠子の"その後"を描いた書き下ろしも収録の、物語を食べちゃう くらい愛する"文学少女"の恋する挿話集第4弾!!

感想:

今回は、今までフォロー仕切れなかった登場人物のその後を中心にまとめられた感じです。自分としては、きっとどうフォローがあってもななせちゃんの最近の扱いには不満なんですが。(苦笑)

それぞれに、簡単感想を。

◆“文学少女”見習いの発見

菜乃のお話しです。本歌取りは、『銀河鉄道の夜』ですね。なので、あの話しのフォローにもなっています。菜乃が結構どうでもいいので、さらっと読みました。

◆“文学少女”と物思ふ公達(ノーブル)

遠子先輩と心葉くんのお笑い(?)シリーズ。本歌取りは、『堤中納言物語』です。オチは最初から読めるので、いま一つかも。

◆“文学少女”の今日のおやつ ~『かもめのジョナサン』~

本歌取りは、バックの『かもめのジョナサン』です。『かもめのジョナサン』は読みましたが、実は今一つだったんですよね。なので、このラストは面白かったです。(笑)

◆“文学少女”と幸福な子供(チャイルド)

心葉くんが遠子先輩のことを信頼するようになる理由というか出来事。アンデルセンの『最後の真珠』。これが実は一番面白かったかも。『最後の真珠』が読みたくなりました。

◆“文学少女”と騒がしい恋人たち(ラヴァーズ)

本歌取りは、サッカレイ『ばらとゆびわ』。この本は知らないなぁ。遠子先輩が心葉くんを意識する切っ掛けになるドタバタコメディ。ひょっとしてこの本のメインなのかもしれないですね。

◆アトリエの内緒話

「“文学少女”と騒がしい恋人たち(ラヴァーズ)」のフォローです。ない方がいいかも。

◆不機嫌な私(ガール)と檸檬の君(ボーイ)

心葉くんの妹・舞花ちゃんのお話し。本歌取りは、梶井基次郎の『檸檬』。『檸檬』自体は、そんなに甘酸っぱい話ではなかったと思うけれど。(苦笑) で、この話は、昔ながらの少女小説的で、胸がキュンとなる感じで結構好きです。この中では、一番長いのかな?

《それぞれの想い》

重要なサブキャラのその後のお話し。

◆美羽~戸惑いながら一歩ずつ

表紙にもなった美羽のお話し。本歌取りは、樋口一葉『たけくらべ』。彼女らしいいい感じのお話しです。ハッピーエンドで良かった~。

◆ななせ~天使へのコール

ななせちゃんの決着編。本歌取りは、『アメージンググレイス』(?)。ななせちゃんのあの言葉でかなり救われますが、やはり彼女には心葉くんともう少し上手く行って欲しかった。

蛍~嵐のあとの陽の中で

『飢え渇く幽霊』に登場した雨宮 蛍ちゃんのお話し。彼女、すっかり忘れていました。(汗)『飢え渇く幽霊』なので『嵐が丘』です。ちょっと後味が悪いかも。

《“文学少女の気持ち》

遠子先輩の短編。嵌まらなかったその他短編を入れた感じですね。

◆“文学少女”の今日のおやつ ~『桜の森の満開の下』~

本歌取りは、坂口安吾の『桜の森の満開の下』です。自分的には安吾は、『不連続殺人事件』の人なんですが。(苦笑) 面白かったです。

◆シュークリームの秘密

ああ、これいいですね。遠子先輩贔屓でない自分も、うれしくなるような話です。

◆“文学少女”の今日のおやつ 特別編 ~『百年後』~ 

本歌取りは、タゴールの『百年後』です。知りませんでした。この後の「半熟作家と“文学少女”な編集者(ミューズ)」に続けるための伏線でしょうね。

その他の感想はこちら。見るなら番号順にお願いします。

◎アニメ版

劇場版 「“文学少女”」
OVA 「“文学少女”メモワール I」-夢見る少女の前奏曲(プレリュード)-
アニメ「“文学少女”の今日のおやつ~はつ恋~」

◎小説版(原作)

12◇文学少女見習いの、 卒業。」
11◆「“文学少女”と恋する挿話集 3」
10◇「“文学少女”見習いの、傷心。」
9 ◆「“文学少 女”見習いの、初戀。」
8 ◇「“文学少女”と恋する挿話集 2」
7 ◆「“文学少女”と恋する挿話集 1」
6 ◇「“文学少女”と神に臨む作家」下
5 ◆「“文学少女”と神に臨む作家」上
4 ◇「“文学少女”と月花を孕く水妖」
3 ◆「“文学少女”と慟哭の巡礼者」
2 ◇「“文学少女”と穢名の天使」
1 ◆「“文学少女”と繋がれた愚者」(+「“文学少女”と死にたがりの道化」 +「“文学少女”と飢え渇く幽霊」 )