D 小説版「電脳コイル 13」宮村 優子、磯 光雄
トクマ・ノベルズEdge ISBN:978-4198508746

11月18日発売の小説版「電脳コイル」の13巻です。いよいよこれが最終巻になります。

今日は、珍しく会社にお休みをいただけたので、のんびりと感想を更新することにします。

アニメ版についてもディズニーXDでアニメの再放送をしているので、ひょっとすると最近電脳コイルの世界に入ったということもいらっしゃるかもしれませんね。

アニメ版は、一度完結しており、小説版はそのノベライズではありますが、ノベライズ作品としてはまれな13巻もの冊数を重ねる大作になっています。なので、中身も若干原作アニメとは違うものになっています。

ということで、最終巻ですが、回収されていない伏線も多数ありますが大丈夫でしょうか。小説版「電脳コイル」13巻感想いきます。

出版社からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:

《メガネ》の有効期限(リミット)を迎えてしまったイサコは絶望し、自ら“あっちの世界”へと飛びこんでしまう。

ヤサコは、“あっちの世界”への入り口を探して西陽海へと向かった。そんな中、大黒市では古い電脳空間の一斉フォーマットがはじまる!

《メガネ》のすべての謎が解けたとき、ヤサコは、イサコを救うことができるのか――!?

感想:

さて最終巻です。
今までで、回収されていない伏線というと、こんな感じでしょうか。

・マリリンマリーンとは誰か。何の役割か。
・ハラケンはどうして目を覚まさないのか。そしてどうなるのか。
・タラちゃんが消えた理由は。彼女に何が起こったのか。ヤサコとの関係は?
・由史とは誰か。どこへ行ったのか。
・ヌルとは、いった何なのか?あの電脳空間は?
・ミチコさん。とは誰か。
・コイル社、メガマス社の目的は何なのか?
・そもそも電脳コイルとは、どういう意味なのか。

<以下、小説の内容に言及するところがあります。ネタバレはしないつもりですがご注意を>

12巻の感想でも書いたのですが、結局、アニメ版では悪意というものを可能な限り排除していく形になっています。悪役がいない状態です。そして、その状態を使って、理由や背景を描写することを避けて、ほぼヤサコとイサコの関係だけにスポットを照てる形で、彼女達の成長物語としてストーリーを収束させていました。

それはそれで、彼女達二人に感情移入できていた視聴者には満足できるものだったと思いますし、事実自分も一定度のカタルシスを得ることができました。

ただ、全体としてのストーリーや、魅力的な設定群、サブキャラたちをある程度切り捨てた後半だったことも事実で、そこに不満を持った人も多かったように思います。破綻っていう意見もあるようですね。うちの感想を勝手に引用して、バカにしてくださっている方もいらっしゃいましたし。(苦笑)まぁ、それも一つの意見であり否定しません。

この小説版では、アニメで切り捨てられた部分、例えばメガマス社やコイル社の目的や、会社としての行動、その他社会的な動きなどをある程度掬い取って、それなりにまとめて終わらせてくれていると思います。上に書いた伏線についても、きれいにとは言いませんが、ほとんど回収されていると思います。そういう破綻のなさにこだわる方には、良い終わり方だったかもしれません。

あのイマーゴと昔の事件の結びつき、イサコ兄の謎などをきちんと解決するためには、この小説版での改変が必要だったんでしょう。

ただ、自分としてどちらの方が好きかというと、アニメ版ナンですよね。そこから入ったことが大きいんでしょうが、やはりこの『電脳コイル』は、ヤサコとイサコの間の物語だと思うんです。そこの二人の関係や痛さが伝わるのはアニメ版が上かなと。

どうしても小説版の方は広げちゃっている関係からか、辻褄は合っているけれど散らばった印象なんですね。ヤサコとイサコの関係も、それぞれの個人も出来事の謎解き(?)に力が注がれている感じで、理屈ではないお互いの感情のぶつかり合いのようなものが伝わってこない。

信彦を実態として、悪役として登場させた分だけそこにイサコの感情が向かってしまう分の違いだとは思いますが、アニメ版と同じようなシーンを描いているにも関わらず、受ける印象が全く違うのは面白いですね。

まぁ、そこだけを書きたかったんではないということなんでしょうけれど。そういう意味では、小説版は、『電脳コイルの世界』そのもを描いた小説なんでしょうか。どちらの方が良くって、どちらが上でということではないです。個人的な好みの世界ですね。

ということで、最後は、ヤサコ×イサコ派のぼやきのようになってしまいましたが、長く楽しめたシリーズだったと思います。作者の宮村さんご苦労様でした。

自分としては、もう少し、他の方の感想を読ませていただいて、ひょっとするとアニメ版のように最後に大まとめを書くかもしれません。

以前のお話しやアニメ版の感想はこちらのアーカイブへ。

小説版だけのアーカイブはこちら。

小説版「電脳コイル」12巻感想
小説版「電脳コイル」11巻感想
小説版「電脳コイル」10巻感想
小説版「電脳コイル」 9巻感想
小説版「電脳コイル」 8巻感想
小説版「電脳コイル」 7巻感想
小説版「電脳コイル」 6巻感想
小説版「電脳コイル」 5巻感想
小説版「電脳コイル」 4巻感想
小説版「電脳コイル」1~3巻感想