G 「ゴーストハント(1) 旧校舎怪談」小野 不由美
メディアファクトリー 幽BOOKS ISBN:978-4840135948

ダビンチでも先行掲載されて、待っていた方も多いでしょう。漫画版も完結してようやく再販開始です。それも、小野さん自身での大幅リライト。「ゴーストハント」です。

コバルト文庫版講談社X文庫ティーンズハート(記憶間違い)で『悪霊シリーズ』として初めて出版されたのが1989年ですから20年以上前ですか。漫画版も1998年、アニメが2006年ですか。長く人気がありますねぇ。

うちにある講談社X文庫版は初版なので、恐らく初めて読んだのもその辺り。表紙のイラストもいなださんに変わっていて、期待が高まります。

ということで、小野さんがどう書き直してくれるのか楽しみにしたいと思います。(講談社X文庫版との比較を追記しました)

ということで、「ゴーストハント(1) 旧校舎怪談」感想行きます。

講談社X文庫ティーンズハート版、漫画版、アニメ版とフルコンプリートです。この1巻は講談社X文庫版『悪霊がいっぱい!?』にあたります。

あらすじ:(出版社特設サイトから引用)

取り壊すと必ず事故が起きると噂されている木造の旧校舎。

高校1年生の麻衣はひょんなことから、調査に訪れた〈渋谷サイキックリサーチ/SPR〉所長・ナルの手伝いをするはめに。

そこで彼女を待っていたのは、身も凍るような謎の現象だった。

旧校舎に巣食っているのは戦没者の霊か、それとも——?

感想:

物語は、主人公の谷山 麻衣の高校に、ナルこと渋谷 一也が心霊現象の調査にやってくることから始まります。調査には、ナルの他にお馴染みの渋谷サイキックリサーチ(Shibuya Psychic Research)メンバーが早くも揃って大活躍。(?)しかし、そこには霊は存在しないという状況に。
それに異を唱えたのが、霊感があるという麻衣のクラスメイト黒田さん。そして、彼女の言葉を裏付けるように次々と事件が起きていきます。

ということで、この第1巻は、霊現象が起きるといわれて調査に来た名探偵(ナル)とワトソン(麻衣)が、事件の謎を解きあかすというミステリ仕立てです。

もちろん、「ゴーストハント」なので、霊現象などの超常現象を肯定する世界の中なのですが、この第1巻だけを採れば、ホラーよりもミステリと言った方がいい位でしょう。

その謎解き的な要素は、シリーズ全般に言えることで、それがこのシリーズをただのホラーと違うものにしていると思います。

ただ、この第1巻は、その謎解き部分が捻って元に着地というイメージで、若干冗長なので、そこが残念かも。その辺りは修正しないのですね。この先は、もっと面白くなるので、楽しみにしておきます。

で、久しぶりに読んだゴーストハントですが、最初はあれって感じでした。ちょっとのれないというか。まぁ、いくらリライトしたといっても、麻衣の一人称視点を 変えるわけにもいかないでしょうから、その辺りに講談社X文庫「ティーンズハート」っぽさが残っていたんでしょうか。

ただ、その違和感も、中盤に差し掛かるころには、完全に払拭され、面白さが増します。さすが、小野さん。ただ、『屍鬼』のような重い文章を想像された方には、肩すかしかも。

講談社X文庫版の『悪霊シリーズ』とホワイトハート版のゴーストハント『悪夢の棲む家』の中間位の文章でしょうか。『悪夢の棲む家』はなんだかなかったことにされていますが。(汗)

ということで、講談社X文庫版との比較をしておきます。(以下11/21追記)

雑誌「ダヴィンチ」での小野さんのインタビューからしますと、今回のリライトのイメージは、講談社X文庫版に、ここ最近一番読者を得ているはずの漫画版のイメージを加えるものだそうで。

実際には、講談社X文庫版が250ページで、今回のリライト版が362ページですから、どれだけ多くのの修正が加えられたかは、明白でしょう。(1ページは40文字×17行から18行に増えています)

ただそれも読んでいると、元々がYA向けということで、会話中心に構成されている部分を、表現を細くする修正が加えられた部分が多いようです。

構成的には、8章構成を6章構成にする修正が加えられています。しかし、読んでみると、全体の構成の展開としては変わりがなく、おそらくは区切り的な部分での修正かと思われます。

結局は、前にも書きましたが、麻衣の一人称視点は変わりがありません。そのために、表現的にも女子高校生を超えるような背伸びをすることができないわけで、そこには以前と変わらずに、このシリーズの限界を感じられます。

ただし、それは麻衣の性格と相まって、このシリーズが他のオカルト、ホラーや他の恋愛系ラノベと一線を画している理由にもなっていると思います。微妙なラインでの様々な要素の共存ってところでしょうか。なので、逆にこの作品の魅力とも思えるわけですね。

YA要素を排除したゴーストハントともいえる『悪夢の棲む家』と比較すると面白いかもしれません。

けれども、これならば、前の講談社X文庫版をイラストだけ直して出版して、さっさと『十二国記』の方を書いてくれという、うちの奥の方の意見も分からないではないですね。でも、ある程度大人の文章になっていて読みやすく、これはこれで良い修正だと思いますよ。

ということで、漫画版やアニメ版から入られた方にもお勧めです。ぜひ読んでみてください。

漫画版の感想はこの辺り
アニメ版の感想はこの辺り