E 「エデン」近藤 史恵
新潮文庫 ISBN:978-4101312613

この本のシリーズ第1巻の「サクリファイス」の感想は書いていたのですが、こちらの感想は書いていませんでした。

ということで、ちょっと遅ればせながらですが感想を書いておきます。上の子が、漫画の『弱虫ペダル』に嵌まっているようなので、こういう小説の自転車競技物を読んでくれないかなということで。(苦笑)

というか、最近近藤さんの感想を結構書いている気がするなぁ。ちょっと偏りすぎな感じがするので、感想対象をちょっと調整しないと。

ということで、感想行きます。

いつもながらに、出版社からあらすじを引用します。

あらすじ:

あれから三年――。

白石誓は、たった一人の日本人選手として、ツール・ド・フランスの舞台に立っていた。

だが、す ぐさま彼は、チームの存亡を掛けた駆け引きに巻き込まれ、外からは見えないプロスポーツの深淵を見る。そしてまた惨劇が……。

大藪賞受賞、本屋大賞2位に 輝いた傑作の続編が、新たな感動と共に満を持して刊行。

感想:

あちこちで絶賛されていた『サクリファイス』の続編。自転車競技を舞台にしたミステリ小説になります。

『サクリファイス』は、本格的にヨーロッパに行く前の日本が舞台で、ミステリ的には謎解きをきちんと軸に据えていた本格ミステリでした。

しかし、この『エデン』は、『サクリファイス』よりもミステリ色が薄まっています。自転車競技の面白さは、相変わらずなのですが、その分だけちょっと自分の評価的には下がっています。

ここまで、ミステリ色を薄めるのならば、もうミステリをキッパリと捨てて自転車競技の小説として描いた方がよかったのではないでしょうか。

特に、白石が「マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ」を争うところなどは、手に汗握るって感じだったので、レースを中心に描いて欲しかったところです。

キャラクタ的にも色々と面白い人物が揃ってきたので、今後シリーズ化して、自転車レースを描いていくには充分だと思います。ただ、主人公の白石が内向的なんだよなァ。(苦笑)

<以下、本の中身に言及している部分があります。ネタバレはしないつもりですが未読の方はご注意を>

あと、ミステリとして評価が下がる理由に、事件と犯人が小説の中心人物ではないところに謎解きの軸があるところです。巻き込まれ型でもいいので、きちんと白石が事件に絡んでほしかったところです。

まぁ、絡んでいないとも言えないこともないのですが、頼まれて仕方なくという感じでもあります。それが残念です。

ということで、ヨーロッパを転戦する白石の自転車レースをスポーツ小説として読みたいですね。

「サクリファイス」の感想はここ