T 「トッカン―特別国税徴収官―」高殿 円
早川書房 ISBN:978-4-15-209137-6

出版は6月ということでちょっと前の本です。しかも読んだのも結構前。

実は、前から感想を書こうと思っていて、放置されていたのをやっと仕上げたというものです。(苦笑)

高殿さんは、今までラノベのレーベルで書かれていた方です。「銃姫」シリーズとかですね。いきなり、普通小説で、しかも早川書房のハードカバー。何が切っ掛けだったんでしょうか。

それは置いておいて、結構評判が良かったようなので、気になって読んでみました。

ということで、「トッカン―特別国税徴収官―」感想行きます。

まず、出版社からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:

税金滞納者を取り立てるみんなの嫌われ 者、徴収官。 鬼上司・鏡特官のもと、新米徴収官ぐー子は山積する難問奇問を乗り越えて一人前になれるのか? ――だれももう、…お金に殺されないで!
身近でありながら知られていないことも多い税金の謎に、抱腹絶倒の筆致で迫り、 仕事人たちに明日への希望を灯す、今一番熱い、前代未聞の税務署エンタテインメント!!

税金滞納者から問答無用で取り立てを行なう、みんなの嫌われ者――徴収官。そのなかでも、特に悪質な事案を担当するのが特別国税徴収官(略して トッカン)だ。

東京国税局京橋地区税務署に所属する、言いたいことを言えず、すぐに「ぐ」と詰まってしまう鈴宮深樹(通称ぐー子)は、冷血無比なトッカ ン・鏡雅愛の補佐として、今日も滞納者の取り立てに奔走中。

納税を拒む資産家マダムの外車やシャネルのセーター、果ては高級ペットまでS(差し押さえ)したり、貧しい工場に取り立てに行ってすげなく追い返されたり、カフェの二重帳簿を暴くために潜入捜査をしたり、銀座の高級クラブのママと闘ったり。

税金を払いたくても払えない者、払えるのに払わない者……鬼上司・鏡の下、ぐー子は、人間の生活と欲望に直結した、“税金”について学んでいく。

感想:

出版社の紹介では、税金のことを色々書かれていますが、これは一応きちんとしたミステリでしょうね。謎解き的な要素とコンゲーム的な要素を組み合わせて、どんでん返しもある。そして、犯罪という社会の暗部を一応描いているということからです。

そして、物語的にもなかなか面白かったです。ちょっと、本筋だけで行くと長すぎるかなという気もしますが、その分をラノベ出身の作者ということで、エンターテイメント性がカバーしている感じです。

特に、キャラ造形がラノベ的ですね。有川さんなどにも言えるのですが、キャラ造形が派手で、特徴が強調されているというのが、ラノベ出身の作家の特徴でしょう。それが、高殿さんにも当てはまる気がします。

もちろん、ストーリーも面白かったです。出版社が強調している税金の話しも、税務署がそんな仕事をしているなんて知らなかったというようなことも書かれていて、興味深いですし。

で、ミステリ部分ですが、中盤のぐー子がだまされる部分から反撃に向かう部分の闘いももちろん面白いのですが、この小説の一番の謎は別にあります。鏡雅愛の命令の謎ですね。それが、最後になって明かされるのですが、なかなか感動しました。良かったです。そういう想いが裏にあったのですね。

なんとなくこの先シリーズ化されそうな気がするので、読んでおいて損はないと思います。