D 「断章のグリム XIII しあわせな王子・下」甲田 学人
電撃文庫 ISBN:978-4048689298

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ということで、ちょっと遅くなりましたが、「断章のグリム XIII しあわせな王子・下」の感想を書いておきます。今のところ完走していますので。

ところで、ごめんなさい、ごめいなさい。上巻の感想で、「ホラーの部分が弱いかな。痛みや恐怖というのは今までほどは感じません。」なんて書いてしまって。思いっきり反撃をされました。夢に見そう。うううぅぅぅぁぁぉぉおお。

ということで、「断章のグリム XIII しあわせな王子・下」感想行きます。

ということで、出版社からあらすじを引用します。

あらすじ:

「……可南子さんには、気をつけた方がいいわ」
彼女の過去を知り、二人が下す決断は──!?

 きっと、浅井は自殺したんだとおもう。
 私は呪い殺されるなんてやだ。
 ぜったい耐えられない。
 だから死ぬことにする。さよなら。

病院で首を吊って死んでいた少女が残した手紙。そこには、自分たちがいじめていた浅井安奈からの復讐が匂わされていた。

いまだ解明できていない謎の死を遂げた安奈と、生き返りの彼女を連れて逃亡を続ける多代亮介。

二人を追ってクラスメイトたちに接触を図る蒼衣と雪乃だが、徐々に“生き返り”の鍵を握る可 南子への不信感も増していき──。

感想:

そういえば13巻ですね。『Missing』の冊数に追いついたとあとがきにあったので気付きました。

『断章のグリム』の第1巻の感想に『Missing』は中への集約系のお話し、『断章のグリム』は外への拡散系のお話しと書きましたが、甲田さんもそれを意識されていたとか。なるほど、色々考えてシリーズが作られているんですね。

というか、この13巻今までにないすさまじさ。まるで、映画の「キャリー」で少女が反撃を開始したシーンのような、というか状態が状態だけにそれの数倍おぞましいですね。サスペンスホラーというよりも、パニックホラーの様相を来していました。

今までここまで〈泡禍〉(バブル・ペリル)が大規模に被害を巻き起こしたことはなかったんではないかなぁ。

<以下、本の中身に言及している部分があります。未読の方はご注意を>

さて、あとがきにもあったように、どうやらこのシリーズも終幕に向かって畳み込みに入ってきたようです。今回はそれに向けて大きく三つのエピソードがありました。というか、このシリーズでは、ほとんどの話しで〈騎士〉(オーダー)が配役として絡んでいるので今に始まったことではないと言えばそうなんですが。

で、三つですが、一つは、蒼衣の〈断章〉である〈目醒めのアリス〉の本格化。というか影響度についてですか。まぁ、これは今までもある程度分かっていました。二つ目は、神狩屋の本質ですか。これは、分かりにくかったというか、今後どういうインパクトがあるのかが分かりにくいです。三つ目は、〈葬儀屋〉ですね。この物語自体が〈葬儀屋〉の物語でもあるので、読んでくださいというところ。

今後どういう終着点を目指すのかですが、〈ロッジ〉「神狩屋」の崩壊か、蒼衣の〈異端〉(ヒァティ)化か。それとも、まさかのハッピーエンドで〈断章保持者〉(フラグメント・ホルダー)からの脱出か。雪乃が変わることは考えにくいので、その辺りでしょうか。

ただ、風乃という異質の存在が気になるんですよね。いくら〈断章〉の一部と言っても、亡霊として存在するのは彼女だけなので何かありそうな気がします。

続きが気になりますね。

『断章のグリム』の過去の感想はこちら