S 『空の色に似ている』内田善美

ということで、昭和のマイベストコミックスの6番目は『空の色に似ている』です。

自分的には、今まで読んだ全ての漫画家の中で、一番絵が上手い人だと思っています。もちろん、絵といっても漫画では見せる絵、動きのある絵など色々ありますが、純粋に絵画的に絵が上手いのは内田さんだと思っています。

ただ、内田さんを選ぶことは最初から決めていたんですが、どれを選べばいいのかを決めかねていて、ここまで引っ張ってしまいました。

ただ、この本を読んだ学生時代に、すごく感動した覚えがあり、将来こんな漫画もしくは小説を書くんだって考えたことを思い出して『空の色に似ている』にしました。

本当はラストにしようかとも思ったのですが、嵌める場所がなくなるといやなので。

ということで、いきます。

マイベストコミックス:4位(今日の気分)
題名:『空の色に似ている』
作 者:内田善美
発表年月:集英社「ぶ~け」1980年 

あらすじ:

高校生の手川 蒼生人(たみと)は信州の高校一年生で、陸上部の長距離選手だった。

彼は学校の図書室の本を自分よりいつも先に借りている、野々宮浅葱(あさぎ)という女生徒の存在に気付く。

自分の世界を共有するようなその少女浅葱と知り合い、惹かれるようになる蒼生人。

そんなある日、蒼生人は浅葱に誘われて、とある画家のアトリエに出掛ける。その画家とは、とある事情から三年生をダブった鷺巣冬城(ふゆき)という青年だった。浅葱は、その青年のことを自分と似ていると語るのだった。

浅葱が惹かれているその無口で陰のある青年のことを最初は敬遠していた蒼生人だったが、次第に冬城にそして彼が描く絵が気になりだす。

浅葱は、蒼生人を誘いアトリエに出掛け、冬城の前で楽しそうに微笑む。冬城は、そんな浅葱を二人をじっと見つめるだけ。そんな奇妙な危ういバランスの関係がいつまでも続くと思われたが、冬城は絵が描けないことに悩んでいた。

そんなある冬の日、冬城に呼ばれアトリエに出向いた蒼生人の前に、陽の光の中の浅葱を描いた絵があった。そして、蒼生人が冬の山に登り戻ってきていないことを知る。

それを知った浅葱は冬城を追って山へ入る。冬城は、目を患っていたのだ。冬城を追って遭難しかけ助けられた浅葱のもとに蒼生人が駆けつける。浅葱は、蒼生人にある絵本のことを語りだす。

感想:

ん~このころの『ぶ~け』はすごいですねっていうのは、『少年は荒野をめざす』の感想で書きましたか。

内田善美さんって謎の作家なんですよね。そもそも男性か女性かもわからないし。そして、10年ぐらいの活躍でトップクラスのまま「書きたいことは全部書いた」って漫画家をやめてしまっていると。

現在は、連絡も採れない状態で、作品の増刷もできないため全ての本が品切れ扱いだということです。もったいない。

Nekoで、内田さんの作品の中で『草迷宮』でもなく、傑作として名高い『星の時計のLiddell』でもなくこの『空の色に似ている』を選んだのは、きっと初めて読んだ時期が大きいんだと思います。

『草迷宮』や『星の時計のLiddell』は、どちらかというと幻想文学いや漫画だと思うのですが、この『空の色に似ている』は青春漫画です。で、学生時代にこれを読んで、当時の感性にぴったり合ったんだと思います。

特にラスト間近のシェル・シルヴァスタイン『ぼくを探しに』を取り込んだエピソードは秀逸で、この絵本を必死に探しました。それが、冬城の描いた絵につながるラストはとても感動的です。

さらには、野々宮 浅葱という少女がとっても好きだったこともあります。知的で聡明でそれでいてお茶目で。彼女が語る絵の具の話しがとても好きでした。

高校生ぐらいに是非読んで欲しい漫画なんですが、どうやっても手に入らないようなので、古本屋かネットで見つけてもらうしかないですね。ネットでは、プレミアついてちょっと高い可能性もあります。

あ~、『星の時計のLiddell』が読みたくなったけれど、文字が多いし難しいから、今読めるかなぁ?

■昭和のマイベストコミックス
1:『坂道のぼ れ!』高橋亮子
2:『少年は荒野 をめざす』吉野朔美
3:
4:『空の色に似ている』内田善美
5:
6:『ペリカン ロード』五十嵐 浩一
7:『ダークグ リーン』佐々木 淳子
8:『TO-Y』上條 淳士
9:
10: