「五龍世界 WOOLONG WORLD 霧廟に臥す龍」壁井 ユカコ
ポプラ社 ISBN:978-4591118054
えっと、最近ラノベから執筆の場を広げている壁井 ユカコさんです。ソフトカバーの単行本です。分類的にはYA辺りの中華ファンタジーなんでしょうか。
ん~、なんで読もうと思ったんだっけ?壁井さんの小説はキーリ(しかも全部でない)しか読んでいなかったんですが、なんだったんだっけ?本の雑誌かなんかで書評を読んだんだっけ?でも、6月の出版なんで書評まだだった気も。
まぁ、きっと羽住都さんの装画がすごくいいので、それに釣られたんでしょう。透明水彩いいなぁ、憧れるなぁ。
ということで、感想行きます。
ひとまず出版社のあらすじを引用と思ったんですが、Amazonの本の紹介の方がよかったので、そちらから引用しておきます。
あらすじ:
やさぐれ道士とカンフー少女!?
血沸き肉踊る中華ファンタジー!
五匹の龍が眠るといわれる五龍大陸のとある山、高名な道士のもとで修行に励む少女ユギの成長物語。
ある日、謎の西洋人牧師に追われる幼女をかくまったユギは、混乱に巻き込まれることに……。
手足に呪の刻まれた枷をはめた幼女の秘密とは。
ユギの兄弟子である白髪の美丈夫や、儚げで妖艶な妓女の少女など、ユギをめぐる人々も魅力的。
幸や不幸をもたらす蠱が人に憑き、それを退治する道士見習いが修行を積む世界。
「幽幻道士」「霊幻道士」に夢中になった人はとくに必読!のウーロン・ワールド。
感想:
なかなか面白いです。
中華的な世界を描いているので、道教や錬丹術などにやっとするネタが色々出てきます。それが、上手く世界を作っていてよい雰囲気です。また、壁井さんの文章は、読点が少なく一つの文章が短いこともあり、テンポ良く読むことができます。自分的には、特に前半が面白かったかな。
主人公のユギが失敗を繰り広げるというか、その時点では失敗とは分からないのですが、読者からするとそれは明らかに後で悪い方に転がるぞという選択をしていくので、ハラハラどきどき。しかし、彼女の性格がいいので、それが暗い読書感にはならずに、楽しく読めます。
<以下、本 の中身に言及している部分があります。ネタバレはしないように気をつけますが未読の方はご注意を>
ただ、後半は、どうもユギの周りの人物に重心を置きすぎている感じがしました。もう少し、ユギを中心にストーリーが回るとよかったんですが。恐らくは女性の読者の方が多いのでしょう。ユギの周りの男性陣がそれぞれ個性的でいい味を出していると思います。
ただ、周りの人物にチカラを入れるならば、もう少し師匠である趙 濤龍との関係を深堀りして欲しかったかな。西域の人、イルラックの話はそれはそれで面白かったのですが、この本の分量ならば、それを削って師匠との関係を見せた方があの山場での師匠の言動がより感動的だったのではと思いました。ユギが立ち直るためにはラストのエピソードは必要なのでしょうけれど、あの分量では師匠よりもイルラックの方が重くなってしまいます。
まぁ、師匠の性格からすると、あっさりも仕方がないのかもしれませんが。
どちらにしても、まだまだユギを巡る物語は始まったばかりなので、続き楽しみに待ちたいと思います。
壁井ユカコは、カスタムチャイルド(メディアワークス文庫版)で知り、結構好きだったのと
クロノXセクスXコンプレックスの2巻が延期になったのでふとした偶然で、という流れです。
中華的なファンタジーで、術のイメージはなんとなく「霊幻道士」かなぁ・・・と勝手に想像してましたw
「桃の木の剣」とかの影響かもしれませんね。
その為か、師匠の顔がなんとなく台湾の俳優さんの顔に・・・
それはそうと、中華風ファンタジーといえば、「龍盤七朝」は読まれてますか?