B 「“文学少女”と恋する挿話集(エピソード)  3」 野村 美月
ファミ通文庫(エンターブレイン) ISBN:978-4047264878

劇場版“文学少女”もいよいよ5/1から公開です。

どうやら、コミックスやその他関連書籍、オリジナルDVDなども含めて、ものすごいマルチメディア展開っぷりですが、大丈夫なんでしょうか?まず映画は、失敗っぽいなぁ。そもそもゴールデンウィークにぶつけるなんて、正気の沙汰か?なんて思いました。

その他もろもろでは、ねんどろいどと画集『“文学少女”の追想画廊(ガレリア・デ・アール)』なら欲しいかなぁ。図書ガイドもちょっと気になるけれど、あの調子で遠子さんに本の説明され続けても、困るでしょう。(笑)とにかく、本以外での“文学少女”って、作品の魅力を減じるだけだと思いますがどうでしょう。

さて、戻ります。この「3」は、「1」、「2」と同様に、ネットのファミ通文庫Onlineで読めているものと、書き下ろしを交えたサイドストーリー集となります。今回の表紙はちぃちゃんですね。

ということで、“文学少女”シリーズの新刊、感想行きますです。

例によって、あらすじを出版社から引用します。

あらすじ:

劇場映画公開迫る! ビター&スイートな短編集第3弾!!

恋に破れた「炎の闘牛」、柔道部の牛園くん。それでも遠子を思いきれず、思い出が欲しいと心葉に詰め寄り…… 『"文学少女"と炎を上げる牛魔王【ミノタウロス】』

クラスにも、気安い笑顔を向けてくる担任の竹田千愛先生にもなじめない中学生の仔鹿だが──『迷え る仔鹿【バンビ】と嘘つき人形【ドール】』

ほか、遠子の想いを目にした紗代や、夕歌と毬谷先生の出会いなど、甘くほろ苦いエピソードが満載!

物語を食べ ちゃうくらい愛する"文学少女"と、彼女を取り巻く人々の、恋する挿話集第3弾!!

感想:

今回は、ほとんど遠子先輩も心葉くんも、ななせちゃんも活躍しない本でした。でも、完結した物語なので、逆にそれぐらいの方が面白いかも。まぁ、ちぃちゃんが活躍する物語が半分くらいですが、彼女はななせちゃんの次に贔屓なのでうれしいです。

それぞれに、簡単感想を。

◆“文学少女”と炎を上げる牛魔王(ミノタウロス)

1に入っていた「“文学少女”と恋する牛魔王(ミノタウルス)」の続編です。本歌取りは、三島由紀夫の『潮騒』。一番笑えます。遠子先輩のせいで、牛園くんと心葉くんの炎のシーンが頭に浮かんで。(苦笑)

◆“文学少女”の今日のおやつ ~『好色五人女』~

遠子先輩と心葉くんのお笑い(?)シリーズ。本歌取りは、井原西鶴の『好色五人女』です。内容を知っているだけですね。まぁ、落ちは、結構くすっとしてしまいました。(苦笑)

◆“文学少女”と恋し始めの女給(メイド)

メイドということで、魚谷 紗代ちゃんのお話しです。本歌取りは、泉鏡花『歌行灯』です。泉鏡花も結構読んだはずなのに、『歌行灯』って記憶にないなぁ。というか、紗代ちゃん忘れてました。(汗)

◆“文学少女”の今日のおやつ ~『谷間』~

本歌取りは、チェーホフの『谷間』です。チェーホフって戯曲しか読んでないなぁ。オチは、良かったです。面白かった~。

◆傷ついた紳士(テノール)と穢れなき歌姫(ソプラノ)

『穢名の天使』に登場した毬谷 敬一とななせちゃんの親友・水戸 夕歌ちゃんのお話。つらいです。本歌取りは『蝶々夫人』です。原作誰だっけ?

◆卵の歌姫(ディーヴァ)と彷徨える天使(エンゲル)

これも毬谷 敬一のお話。気に入られていますね。本歌取りは『さまよえるオランダ人』ですね。これもオペラ。原作誰でしょう?

◆遠子おばタンの秘密

姫倉 麻貴と櫻井 叶子と悠人くんの小話。

◆迷える仔鹿(バンビ)と嘘つき人形(ドール)

先生になったちぃちゃんの生徒・仔鹿 里佳ちゃんのお話しです。ちぃちゃん学校の先生になるんだ。本歌取りは、サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』です。いつもながらに“文学少女”の人間関係のひどさは容赦がないです。

頑張る仔鹿(バンビ)と臆病な旅行者(ホリー)

仔鹿 里佳ちゃんのお話です。前の続きですね。本歌取りは、トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』です。映画オリジナルじゃなかったんだ。(汗)というか、うちの奥の人は作者一発でした。

道化師(ピエロ)のつぶやき

前の2本をちぃちゃん視点で、モノローグ形式で描いたもの。基本的に流人が好きではありません。(苦笑)

ということで、そろそろネタ切れではないかい?

その他の感想はこちら。見るなら番号順にお願いします。

10◇「“文 学少女”見習いの、傷心。」
9 ◆「“文学少 女”見習いの、初戀。」
8 ◇「“文 学少女”と恋する挿話集 2」
7 ◆「“文 学少女”と恋する挿話集 1」
6 ◇「“文 学少女”と神に臨む作家」下
5 ◆「“文 学少女”と神に臨む作家」上
4 ◇「“文 学少女”と月花を孕く水妖」
3 ◆「“文 学少女”と慟哭の巡礼者」
2 ◇「“文 学少女”と穢名の天使」
1 ◆「“文 学少女”と繋がれた愚者」(+「“文学少女”と死にたがりの道化」 +「“文学少女”と飢え渇く幽霊」 )

http://www.booklines.net/archives/4047264873.php