T 「トーキョー・クロスロード」濱野 京子
ポプラ文庫ピュアフル ISBN:978-4591117859

夜の10時過ぎ、電車でどうやらサッカークラブの練習帰りらしい中学1~2年生位の男の子を見掛けました。一生懸命文庫本を読んでいるので気になって見てみると「不毛地帯」でした。むむ、やるなお主、ってことで、負けずに本の感想を書いておくことにします。(苦笑)といってもヤングアダルト系ですが。

今年の第25回坪田譲治文学賞を受賞した『トーキョー・クロスロード』です。2008年に単行本で出ていますが、ちょうど3月にポプラ文庫に入ったので、いい機会でしょうということで。ちなみに、自分が読んだのは、単行本の方です。

ということで、感想行きます。

出版からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:

秘めた想いは、いったいどこへ行くのだろう。

一児の母、ジャズ喫茶のバンドマン、甘えん坊の美少女、辛口の秀才、そして、彼女が絶えないアイツ・・・・・・。

今見てるこの景色も、同じものにはもう二度と出会えない――高校生活

「別人に変装して、ダーツに当たった、山手線の駅で降りてみる」
これが休日の栞の密かな趣味。
そこで出会ったかつての同級生、耕也と、なぜか縁が切れなくて・・・。
高校生の「今」を鮮やかに描く、フレッシュで切ない青春ストーリー!

感想:

面白いという評判だったので、何も考えずに読みました。どうやら、青春小説だということだけの前知識でした。読んだ後にネットを見ても絶賛の嵐ですねぇ。

で、自分が読んだ感想は、う~ん、自分の感性とはちょっと合わないなって感じです。

最近の携帯小説やライトノベルスのフォーマットを模倣し、恋愛小説の体裁を採っていますが、やはり書きたいのは色々と迷うヤングアダルト世代の心なのだと思います。それは成功ていると思いますし、坪田譲治文学賞というオトナ文学と子供文学両方にかかるような本に与えられる賞を受賞したのも頷けます。

でも、肌に合わないんですよ。残念ながら。元々、携帯小説自体が自分とかみ合わないので、それっぽいフォーマットを使っているところがいけないのかもしれません。でもそれよりも、まず主人公二人に共感できない。こういうやつら嫌いだなんです。ごめんなさ~い。

まぁ、耕也は世の男たちに嫌われるタイプだと思うので置いておくとして、栞です。どこが合わないって、恐らくは自分の気持ちを置いておいて、周りの人間の批評ばかりしているところなんでしょうね。後半、あの出来事の後、自分の気持ちに向き合ってからは、違和感がすっと消えましたから。

もう一つ前半乗り切れなかったのが、原爆やイラク派兵、母語とか色々と日本の問題のあるコトを取り上げてそれを栞と耕也が他の人達ちとは違うタイプ、言葉は悪いですが物事を考えている賢い良くできる人間、他の子供たちがだめな人間のようにカリカチュアされているところです。

もちろんそういうことを考えることは大切だと思うし、いいことだとは思うのですが、だからこそそういう脚色の道具としては使って欲しくなかった感じがします。特に、耕也は女性関係に対しては、何も考えていない極めてルーズな男の子に見えるので、そこだけいい風に描写されてもイライラします。

まぁ、多分今の若者と自分の感性がずれてきているということだろうということで。

ただ、山手線を栞や迷い続ける少年少女の象徴として置き、それを軸に物語を組み立てている部分は、良かったです。語り口は好きなタイプだと思うので、きっとテーマが合えば楽しめる作家なのかなと思いました。

濱野さんの本を結構読んでいるという奥の方にお勧めを聞いてみようかな。