D 小説版「電脳コイル 9」宮村 優子、磯 光雄
トクマ・ノベルズEdge ISBN:978-4198508357

小説版:電脳コイルの9巻目です。あれ?9/18 発売?確か9/16だったんではないですか。16日に買いましたよ。オフィシャルWebの間違いでしょうか? 

かなり、激しく原作から離れているようですが、作者の宮村 優子さんの「三番目のユウコ通信」を読むと、一応伏線を回収してくれるようなので、原作からはあまり離れない展開になるのではないかな?どうだろう。

どちらにしても、秋冬になったので、12巻位が山場ですかね。

ということで、感想行きます。

以前のお話しやアニメ版の感想はこちらのアーカイブへ。

出版社からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:
夏休みの終わった大黒市。

“信者”たちから裏切り者として憎まれることとなったイサコに、さまざまないやがらせの攻撃が相次いでいた。

そんなとき、ネットの掲示板にイサコを囮にする書きこみがあり、《メガネ》の小学生たちが続々と集まりはじめる。

《メガネ》を巡る謎が深まる中、イサコとガチャギリが、ある決断を下す!

感想:
さてさて、一気読みです。もったいなぁい。

7~8巻は、どうもイサコ様が弱ってしまわれていて、今一つ自分の中での盛り上がりに欠けたのですが、この9巻は、以前のイサコ様が少し戻ってきました。

やはり、この「電脳コイル」のストーリーを動かすのは、どうしてもイサコであり、ヤサコは巻き込まれ型の主人公なんですよね。ただ、アニメ版とは違い、イサコの周りの人間たちの描写により時間を割いているので、ハラケンもストーリーの鍵を握る人間になっていますけれど。アニメ版は、エピソードの中心ではありますが、あくまでもイサコとヤサコの物語でしたから。

<以下、小説の内容に言及するところがあります。ネタバレはしないつもりですがご注意を>

小説版は、途中で子供たちの物語からヤサコとイサコの物語に変わったアニメ版とは違い、子供たち全員の成長を描こうとしているように思えます。そのキーとなるのが、アニメ版では設定から削られたような《メガネ》の限界年齢です。それを12歳というか、小学校6年生までに設定したところが、子供たちの成長物語だということを現しています。

この9巻では、イサコ教から解放されたかに見えたイサコが、一人で歩み始めるところが描かれています。しかし、「声」は付いて廻るんですけれどね。そのためかイサコ視点が多かった気がします。主人公がイサコになったようです。

そのイサコを巡って子供たちそれぞれが少しずつ成長を見せています。一人立ちを見せ始めている感じですか。そのとき口にするのが、《メガネ》の残り時間なんです。《メガネ》が無くなるとオトナの仲間入りということなんでしょうね。

そう言えば、ヤサコの性格がずいぶん変わってきた感じがします。元々芯が強そうな感じはありましたが、ますますそれが増してきて、弱さが感じられなくなっています。それと比例して感情移入がしにくくなっています。やはりイサコのように弱さが見えないと感情移入しにくいんでしょう。

まぁ、それは置いておいて、気になった点があります。ハラケンです。アニメ版のハラケンは、先に書いたように描かれ方が小説版よりも薄かったので、ただの狂言回しっぽく見えたのですが、小説版はなんだか悪役ですね。すごく感じが悪いです。特にヤサコと激しくぶつかるので、アニメ版との違いが際立ちます。どうなるんでしょう?

「声」の正体は、アニメ版から想像するにあの人だと思うのですが、今回神社で出てきたあの少女は一体誰なんでしょう?信者だったような記述がありましたが、どうも裏がありそうな気がします。今回登場しませんでしたが、未だに正体の分からないマリリンと共にアニメ版にはないキャラなので、気になります。ヤサコ関係のあの人でしょうか?

ということで、次は冬ですか。いよいよ扉が出てきて山場なのですが、積み残しの設定が多いのと、アニメでは出ていなくてはいけないあの人やあの人が出ていないので、どうなるのか気になります。楽しみだなぁ。