Y 「黄昏色の詠使いX 夜明け色の詠使い」細音啓
富士見ファンタジア文庫 ISBN:978-4-8291-3434-4-C0193

さて、とっくに読み終わっていたんですが、忙しくて感想を書くタイミングを逃していました。

衆議院選挙も何だかマスメディアの誘導通りの非常に情けない結果になっていて、おまけに「咲-Saki-」もお休みということで、気分転換にちょこちょこと書いておくことにします。

というか、最終巻なので、本当はもっと早く書いておくべきだったんでしょうけれどね。

ということで、感想行きます。

出版からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:

“キミが来てくれるのを信じてる”

--そう告げて消滅したクルーエル。

彼女を救うためセラの塔へ挑むネイトを待っていたのは、“名詠式が存在する世界そのもの”だった--。

詠う召喚ファンタジー、クライマックス!

感想:
「黄昏色の詠使い」シリーズもフィナーレです。

このシリーズが、どこの読者層に人気があるのかと考えていたんですけれど、キミ・ボクの世界系ファンタジーとも採れるので難しいですね。これが、カインツとクルーエルさんが主人公であれば、コバルト系とも言えるので、やっぱり女子高校生辺りに人気があるのでしょうか?それとも、ネイト人気ということでお姉様系の女性?

それは、さておき最終巻なので?、内容にも言及しておきます。

<以下、本の中身に言及している部分があります。未読の方はご注意を>

なんだか、このシリーズではよくあることなんですが、前の巻で、ミオたちが活躍できなくて寂しいなんて書いていたら、本当に活躍の場がありました。びっくり。前々巻もカインツの活躍が物足りないなんて書いていたら、活躍の場が与えられていましたし。どうも、作者の思惑に翻弄されている気がします。(汗)

ということで、最終巻ということで、ネイトとシャオ、クルーエルの3者の物語になるのかと思っていたら、ちょっと違いました。どちらかというと、ネイトとその周りの人々という感じの物語でした。

ネイト一人のクルーエルさんへの思いだけでなく、彼が周りの人々に支えられていることに気付き、それが結果として大団円に昇華していくという展開は、王道的と言えばそうなんでしょうけれど、ここまでど真ん中のストレートで突っ切るのはなかなかできないでしょう。ミオさんが登場したところは、取ってつけたようだと言われればそうかもしれませんが、個人的には感動しました。

難を言えば、エイダとレフィスの決着が、この最終巻ではちょっと余計かなとも思えたのですが、それは仕方がないでしょう。特にレフィスは、最後にバタバタと参加したイメージがあったので、読み手側に思い入れが足りなかった感じがします。

それと、シャオの扱いですね。もう少し何かあるのかとも思っていたんですけれど、案外にあっさりでした。確かにそこを捻っちゃうと、最後のファウマの部分が難しくなりますからね。

ただ、その分アマリリスの予想外?の活躍があって、そこは感動的でした。彼女は、もう前回で終わりかもと思っていたので。

ということで、全10巻の長いお話しも終わりです。後は、細音さんのWebページでの解説が更新されるのを愉しみに待ちますか。

以前の感想は、こちら。
「黄昏色の詠使いIX ソフィア、詠と絆と涙を抱いて」
「黄昏色の詠使いVIII 百億の星にリリスは祈り」
「黄昏色の詠使いVII 新約の扉 汝ミクヴァの洗礼よ」
「黄昏色の詠使いVI そしてシャオの福音来たり」
「黄昏色の詠使いV 全ての歌を夢見る子供たち」
「黄昏色の詠使いIV 踊る世界、イヴの調律」