H_2 「少年少女飛行倶楽部」加納朋子
文芸春秋 ISBN:978-4-16-328160-5

今日は、栗本薫さんがなくなったという訃報が飛び込んできました。栗本さんといえば「グインサーガ」なんでしょうが、自分としては「ぼくらの時代」とか伊集院伊集院大介シリーズの初期作品(「天狼星」より前)が記憶残っています。残念ですね。

ということで彼女の作品にしようかと思ったのですが、最近読んでいないのでこちらにします。

ちょっと評判がいいようですが、加納朋子さんの「少年少女飛行倶楽部」です。彼女もデビュー時から追いかけていて、作品もほどほどに読んでいます。

ということで、感想行きます。

出版社から、あらすじを引用します。

あらすじ:
公立中学1年生の海月(みづき)は、幼馴染に誘われて「飛行クラブ」に入部する。

メンバーは、変人部長・神(じん)と野球部を兼部する海星のみ。そのうち、高所平気症の朋(るなるな)、野球嫌いの元野球部員・球児、驚くほどいじわるな戸倉良子という、問題を抱えた部員が集まる。

果たして、このでこぼこ部員たちは大空に舞い上がれるのか――。

今回はミステリーなしです。でも、現代のシリアスさは、ちゃんと内包しつつ、大人も子供も楽しめる“空飛ぶ”青春小説に仕上がりました。

感想:
作者の加納朋子さんというと、テレビドラマになった「てるてるあした」やそのドラマにも一部取り込まれた「ささやさら」が有名ですかね。

自分は、「ささやさら」か次の「虹の家のアリス」位まではリアルタイムで追いかける人だった気がしますが、そのあとはちょっと離れていました。作風が少し変わったためです。

初期は、北村 薫を代表とする日常ミステリの一人というか代表格でした。日常の謎をテーマとするミステリですが、ミステリの枠組みから外れることなく、ドラマと両立させていたと思います。しかし、「ささやさら」位からドラマが勝ち始めて来た感じがします。

そして、このお話しは、作者コメントにもあらすじにもあるように、ミステリはなしです。純粋な青春小説となっています。無理にミステリ要素を加えて中途半端になることもなく、純粋な青春小説になっている分なかなか楽しめました。

<以下、本の中身に言及している部分があります。ネタバレはしないつもりですが未読の方はご注意を>

まず、「飛行クラブ」という名称が、勝利ポイントですね。普通は本の中にも出てきますが、「鳥人間コンテスト」を目指すような人力飛行機クラブを思い浮かべると思いますが、ちょっと違いました。そこが面白かったです。

あとは、中学生たちのキャラクター造詣ですね。主人公の海月(くーちゃん)には今一つ感情移入できなかったのですが、他のメンバーがなかなか面白くてよかったです。部長・神は、変人と言われていますが、小・中学生にはああいうタイプいますよね。

でも自分のお気に入りは、くーちゃんの幼なじみ樹絵里と、イライザ良子ですね。こういう風に、その人があとであっという感じになるのは、結構好きです。ストーリー自体は、特にサプライズもなく目的に向かって突き進む青春ドラマですが、キャラクターには若干のサプライズがあってミステリ畑の色が垣間見得えます。

ただ、あの最後の某ジブリアニメにも通じる事件は、ちょっとどうかなぁ。そこまでいい感じで来ていたのですが、あそこまで大きな事件にする必要はなかったのではないかなぁ。あれでは、翌年は飛べなくなりますよ。絶対に。

最後に、加納さんの作品のお気に入り順位。読んでいないものもあるので、話半分でどうぞ。

1.ガラスの麒麟
日常の謎の加納さんが初めて殺人事件を扱った作品。でも、ミステリ要素も一番強い感じがします。

2.魔法飛行
加納さんの代表シリーズが「駒子シリーズ」なんですが、「ななつのこ」よりもこちらを採ります。ミステリ要素の濃さの差と考えてください。

3.ななつのこ
加納さんのデビュー作。童話がモチーフになっていて、後に「ななつのこものがたり」の童話も出版されています。

実はまだ「スペース」が読めていない。(泣)