M 「モダンタイムス」伊坂 幸太郎
講談社 ISBN:978-4062150736

「重力ピエロ」が映画化ということで、その人気にあやかろうと、伊坂幸太郎をと思いつきました。あのCM、いいセリフを使っていますね。ということで、「重力ピエロ」でも良かったんですが、一先ず最新作をということで、去年の10月出版ですが、「モダンタイムス」を。

この物語は、どうやら週刊『モーニング』に連載されていたようです。マンガ雑誌連載ということですが、1200枚を超える原稿といことで、彼の最長作品のようです。

ということで、感想行きます。

出版社から、あらすじ(?)を引用します。

あらすじ:
岡本猛はいきなり現われ脅す。「勇気はあるか?」
五反田正臣は警告する。「見て見ぬふりも勇気だ」
渡辺拓海は言う。「勇気は実家に忘れてきました」
大石倉之助は訝る。「ちょっと異常な気がします」
井坂好太郎は嘯く。「人生は要約できねえんだよ」
渡辺佳代子は怒る。「善悪なんて、見る角度次第」
永嶋丈は語る。「本当の英雄になってみたかった」

感想:
えっと、あらすじになっていないので、ちょっとまとめてみます。

「二十九歳のSE・渡辺拓海は、妻の佳代子に雇われた男に浮気を認めるように拷問される。そんな状況も彼の中では醒めた日常だった。

そんな彼が楽しみにしていたのが、配信占いのメールだった。そのメールのおかげで、彼はなんども窮地を乗り越えてきていた。

そんな折、彼の会社の同僚で、かなりの切れ者である五反田正臣が、仕事を放り出して失踪してしまう。

渡辺は、後輩の大石倉之助と共に、五反田のプロジェクトだった出会い系サイトの改変業務を引き継ぐが、その仕事はどこかおかしかった。そのWebサイトのプログラムには暗号が隠されており、その暗号に隠されたキーワードが何か事件の引き金になっているようなのだ。

いつしか、渡辺と大石は、事件に巻き込まれていく。」

こんな感じでしょうか。

得意の作品同士の繋がりは、未来の物語なのでないのかなと思っていると、『魔王』と繋がっているんですね。完結編と言ってもいいかもしれません。まぁ、それほど深い繋がりがあるわけでもありませんが。

それはさておき、お話し的には、『ゴールデンスランバー』を超える長さだったのですが、ハッキリ言って長すぎです。もっと刈り込んでいいんではないかと思いました。確かに、彼一流のストーリーテリングで読ませはしますが、後半ちょっとだれる部分がありました。

自分が一番気になったのが、超能力の扱いです。あれは、ストーリー的に邪魔ですね。なくても充分話は通じますし。いや、あんなに中途半端に扱うのならない方がましです。あとは、場所の移動が気になりました。背景描写が足りないというか。ちょっと、マンガ雑誌連載というのを意識しすぎたのでしょうか。

それがなければ、魅力的なキャラクターとエピソード、ウィットに富んだセリフ回しと、いつもの伊坂節を楽しめました。

読まれる方は、是非『魔王』を先にお読みください。また、出来からすると『重力ピエロ』や『ゴールデンスランバー』の方が面白いですね。