C 「ちはやふる」末次 由紀
Be・Loveコミックス ISBN:978-4-06-319259-9

マンガ大賞2009の大賞受賞作です。マンガ大賞も2回目で、1回目はビッグコミックオリジナルの『岳』です。マンガ大賞は、書店のマンガ担当などで決められるいわば「本屋大賞」のマンガ版のようなものですね。

今年は、講談社Be・Loveコミックスという女性誌に連載されている「競技かるた」を題材とした『ちはやふる』が選ばれました。自分的には、文句の言いようがありません。このマンガは圧倒的に面白いです!覚えておいて損はないです。

是非知らない方にも読んでほしいということで、感想をばあげます。

ということで、初めてあげる作品なので全体紹介から。

世界観:
舞台は、「競技かるた」の世界です。競技かるたとは、小倉百人一首を用いて行う、頭脳スポーツの一種です。通常のカルタ採りとは違い、ルールを設けて競技性を持たせ、記憶力と瞬発力を競うものです。NHKのBSなどでやっていますね。

物語は、主人公の綾瀬 千早が小学6年生のときから始まります。

小学生編では、千早が福井からの転校生綿谷 新と出会うところから始まります。小学生チャンピオンでありながら、方言からいじめられる新と仲良くなった千早が、幼なじみの真島 太一も巻き込んで、競技かるたの世界に足を踏み入れるところから、卒業での三人の別れまでが描かれます。

高校生編になって、一人でかるたを頑張っていた千早が、再会した太一や学校の仲間と共にかるた部として活動する様子が描かれます。それと並行して、新との再会や新たなライバルの登場が描かれて行きます。

最新刊のあらすじ:
4巻のあらすじを出版社から引用しておきます。

全国大会出場をかけ、団体戦での熱戦を制した瑞沢高校かるた部。

信じあい、支えあった仲間たちとともに初めて、夢に描き続けた近江神宮を見上げる千早。その胸に、溢れた思いとは……?

一方、新もまた同じ近江の地を踏みしめていた。だれにも打ち明けることのなかった真実を背負いながらーー。

情熱が導いたかけがえのない仲間たちとともに憧れの地・近江神宮へーー!!

感想:
熱いですねぇ。女性誌に連載されていながら、内容はもう少年/青年誌のスポーツマンガの乗りです。というか、それよりも面白い。

小学生編では、競技かるたの面白さと千早の才能を示しながら、主人公たち三人の出会いが描かれています。そこはそこで、面白いのですが、やはり高校生編になってからが面白さが加速した気がします。本格的に競技かるたとしての試合になってきたからでしょうね。

NHK-BSのテレビなどでも西郷名人の圧倒的な強さなどを見ていたんですが、このマンガを読んでその細かい面白さがやっと分かりました。なので、高校生編になって、戦術などが出てきて本格的に面白くなった気がします。

さて、この『ちはやふる』を語るときに、よく『ひかるの碁』と比較される方がいます。確かに小学生から始まって、基本的には一対一での頭脳戦での対決で、しかも古くからの競技ということで類似点も多いと思います。

でも、『ちはやふる』は、やっぱりスポーツマンガのコードで描かれている感じが強いです。色々と、ああのスポーツマンガでもあんなシーンがあったなと思い出させる部分があったり(もちろん、作者の末次さんのスラムダンク事件は知っていますから、そういう意味で書いているのではないです)。スポーツマンガの面白いところ、燃える展開をうまく競技かるたに取り込んで、さらに面白くしているという感じですね。

例えば、千早の才能が初めて現れたシーン。1巻の第三首でのチーム戦で千早が初めてカルタを取ったシーンですが、あのいきなりの見開きのシーンは、スポーツマンガでも良くあるパターンですね。効果的に使われています。カッコいいです。
読者も当然次の上の句が読まれることを考えているわけで、その音が聞こえる寸前での動きなので、彼女は、会場の誰よりも早く動いたでけでなく、読者よりも早く動いたわけです。それがあの見開きに描かれていたと思います。

さて、団体戦も大詰めで、その結果も気になりますが、やっと色々と話題に上がっていた「クイーン」が登場です。登場シーンが格好良かったので、非常に気になります。予告カットの「音のしないかるた」というのも面白そうです。

早く続きが読みたいなぁ。