S 「天山の巫女ソニン 四 夢の白鷺」菅野雪虫
講談社 ISBN:978-4-06-215081-1

今週は、仕事で大阪に帰省できなかったので、その分何か感想を書こうと考えたのですが、今一番嵌まっているかもしれないこれをば。「天山の巫女ソニン」です。講談社児童文学新人賞受賞作品。

登録カテゴリからお分かりのように、内容的にはジュブナイルですね。ヤングアダルトってほどでもなく、児童文学って言っていいのではないでしょうか。小学生の高学年なら読みこなせる子供も結構いそうです。うちの子供にも読ませたいけれど、小学生で「とらドラ!」読んでるようじゃ読まないかな?

ということで、感想行きます。

お初のご紹介作品なので、まず世界観から。

シリーズ紹介:
とある大陸の半島に「巨山」・「江南」・「沙維」という三つの国がありました。

その国では、「夢見」という能力がある巫女の素質があるとみなされると、幼いうちに天山に連れて行かれ巫女となるべく教育を受けます。「夢見」は、様々な未来を予言する夢を見る能力のことでした。

「沙維」の国に生まれたソニンは、生まれるとすぐに、巫女の素質があると天山に連れて行かれます。しかし、12歳になると、それが見込み違いだったと里に返されます。それは非常にまれなこと。

しかしソニンは、そんなことには落ち込まずに明るく生きていきます。そして、「沙維」の国の末の王子イウォルにとある理由で見込まれて城へ召されることになります。

城に上がったソニンは、そこでとある女性に出会います。その女性に出会うことで、ソニンの人生は大きく変わり始めます。

二巻では、「江南」のクワン王子、三巻では「巨山」のイェラ王女と、ソニンを取り巻く人物も色々登場して...。

四巻のあらすじ:(引用です)
“江南”を大嵐が襲い、人々の暮らしは大きな打撃を受けた。

“沙維”のイウォル王子は災害の援助のために、“巨山”のイェラ王女は密かな企みを胸に、相次いで“江南”に向かう。“江南”のクワン王子を交えた三人は初めて一堂に会し、ある駆け引きをする。

一方、ソニンはクワン王子の忠実な家臣セオの存在に、なぜか言いようのない胸騒ぎを覚えていた…。

感想:
ソニンって、最初読んだときには、「チャングムの誓い」が頭に浮かんだんですよ(きちんと見てないけれど)。でも違いますね。チャングムはいわゆるサクセスストーリーですが、ソニンは、ファンタジーの衣を着た成長物語ですから。ひょっとすると、どちらかというと、「十二國記」とかに近いかも(雰囲気だけ)。

まぁでも、作品が主人公の少女のキャラクターに引っ張られるのはどちらも同じか。ソニンの頑張り屋のキャラクターが、とても魅力的です。

「天山の巫女ソニン 」も、「十二國記」と同じように当初はファンタジーと銘打っておりました。確かに第一巻は巫女の夢見の力とかがキーになっていますから、ファンタジーなんですけれど段々とそれは薄まっています。この四巻なんて、超常現象は出てきはしますが[省略]ですから。でも、お話しは逆に、段々と面白みが増してきています。

この四巻を読むと一巻~三巻までは導入ですね。主要な登場人物と物語の場となる三国の紹介だったことが分かります。そしてこの四巻で本格的に物語が動き出します。三国の思惑が色々混じり合って、実は「三国誌」って感じのお話しだったんですね。そういう意味でも、一巻は純粋な児童文学ですが、だんだんと人の心の裏とかが出てきて、その枠をはみ出してきている気もします。

それはそうと、この本はうちの児童文学関連の職業をしている奥の人が読んでいて知ったんですが、彼女曰く「ソニンがモテモテのお話し」だそうです。確かにそうですね。出てくる主役級の人物がみんなソニンを気に入ってしまうのですから。でも、一巻を除くと、ソニン自体が本当の窮地に陥ることはあまりないんですよね。周りの人の窮地をソニンが救っている。それから行くと、ソニンがモテモテなのも仕方ないかも。

さて、本格的に盛り上がってきた「天山の巫女ソニン 」、次が早く読みたいなぁ。自分的には、イェラ王女がすごく好きなんですが、この四巻の展開だと、次ぐらいに彼女がまずい立場になりそうで怖いです。