A 「あたしと魔女の扉」ジャスティーン・ラーバレスティア
ハヤカワ文庫FT  ISBN:978-4-15-020479-2

ハヤカワ文庫FTの名の通り、ファンタジーに分類される本ですね。三部作の第1作目で、今月に続刊の『あたしをとらえた光』が出ましたので、ちょっと前に戻って感想を上げます。続編分も別途上げましょう。

一応ジュブナイルかと思うのですが、内容的には微妙かも。
でも、なかなかに面白いです。お勧めですよ。

ということで、感想いきます。

一応出版社からあらすじを引用っと。

あらすじ
〈世界9カ国で翻訳、各紙誌大絶賛!  あなたのファンタジイの概念をくつがえす三部作 アンドレ・ノートン賞受賞〉邪悪な祖母からの逃亡生活の果てに、少女が開けた扉は地球の反対側につながっていた!

あたしは突然、おばあちゃんの家に住むことになった。ずっと母さんと二人、おばあちゃんから逃げるために、オーストラリアの僻地を転々と暮らしてきたというのに。
自分を魔女だと信じる邪悪なおばあちゃん。その家で、ある日偶然開けた扉は、季節も時間も反対の見知らぬ街につづいていた
――シドニーとNYを舞台に、思春期の友情、異文化との出会い、そして親子の愛について豊かに描きだすモダン・ファンタジイ三部作開幕篇

感想:
いや、「アンドレ・ノートン賞」って分かる?ジュブナイル向けのSF/ファンタジー作品の中から優れた作品に対して贈られるもので、2006年にできました。比較的新しい賞ですね。

それはさておき、系統としては、ハリー・ポッターなどの魔法ファンタジーに分類されるのかもしれません。最近、ハードカバーとかで、どかどか出版されていましたが、ちょっと落ち着いてきたのかな?あ、あれは魔法ファンタジーではなくて、異世界ものが多いのかな?

この本は、それらのファンタジーとは切り口が変わっていて、一線を画す感じですね。ジュブナイルと言っても15歳以上向けって感じかな。

海外の魔法ファンタジーって、魔法の世界を一般の人間とはちょっと違う、少し不思議な世界のように描くファンタジーが多いのに対して、この本では一般の人間に混じって、そこに葛藤や軋轢が生まれる感じです。日本的かも。(汗)

物語では、基本的に主人公の15歳の少女リーズンの視点で描かれるのですが、彼女に友達ができると、その友達の視点も加わります。ただし、腹に一物を隠す大人たちの視点はありません。そのあたりからも分かるように、リーズンだけではなく、リーズンに関わる少年・少女たちの成長物語になるのでしょう。
1巻目では、リーズンの世界観の広がりと、もう一人の15歳の少女J.Tの意識の変革が描かれています。トムは...まぁどうでもいいでしょう。

面白いのは、魔法の設定です。これを説明するとネタばれになるので語りませんが、この設定ならば魔法は何でも可能なワイルドカードにはならないし、魔法使い同士での人間関係での争いも必然になりますね。

あと、これはネタばれではないと思いますが、リーズンの魔法が数学とと結びついているのは面白いですね。フィボナッチ数列とアンモナイト。もっと数学的な表現があると、より面白くなりそうと思うのは、形式美を追求する日本式変身魔女っ子物に毒されすぎですか?(苦笑)