B 「“文学少女”と神に臨む作家(ロマンシエ)」<上>野村 美月
ファミ通文庫(エンターブレイン) ISBN:978-4757741737

えっと、4・28発売ですか。前日が日曜なので、週末に繰り上がったわけですね。24日に入手しました。
で、“文学少女”シリーズもラストエピソード。いよいよ大詰めですが、おっと上下巻方式ですか。待ち遠しい下巻は何時(大涙)。

ということで死ぬほど楽しみにしていた、“文学少女”シリーズの新刊です。

例によって、あらすじを出版社から引用します。

あらすじ:
ついにラストエピソード――“文学少女”の物語が開幕!

「わたしは天野遠子。ご覧のとおりの“文学少女”よ」――そう名乗る不思議な少女との出会いから、二年。

物語を食べちゃうくらい愛するこの“文学少女”に導かれ、心葉は様々なことを乗り越えてきた。けれど、遠子の卒業の日は迫り、そして――。

突然の、“文学少女”の裏切りの言葉。愕然とする心葉を、さらに流人が翻弄する。「天野遠子は消えてしまう」「天野遠子を知ってください」――遠子に秘められた謎とは? 心葉と遠子の物語の結末は!? 最終編【ラストエピソード】!

感想:
☆は、下巻にてつけます。

何度も言っていますが、“文学少女”シリーズは、ミステリの形態を採っています。そして、シリーズ全体の一番大きい謎の一つが、心葉くんと美羽の関係であったわけですが、それは「“文学少女”と慟哭の巡礼者」 で解明されました。
すると残された謎は、“文学少女”遠子先輩とは 一体何者なのかということになります。

どうやら、ラストエピソードであるこの「“文学少女”と神に臨む作家」では、やはりその解明に挑むようです。

ラストエピソードの本歌取りは、アンドレ・ジッドの『狭き門』でした。う〜ん困った。『狭き門』は、高校生のときに読んだっきりで、あまり印象にないんだよなぁ。

ストーリーは、「慟哭の巡礼者」の後を受ける形で始まります。物語の表には遠子先輩が出てくることもなく、非常に重い雰囲気で進みます。しかしながら今までの話よりもリーダビリティが高いように感じるのは、今まで伏せられていた事実が次々に明るみに出るためでしょうか。

『狭き門』との本歌取り的な動きも、最初の「死にたがりの道化」を除けば一番判りやすく、それが読みやすくしているのかもしれません。

あるいは、事件に絡んでいる流人くんも琴吹さんも、特に行動に秘められた策略があるわけではないので、人物の心の裏を想像する必要がないためかもしれません。

それはさておき、“文学少女”シリーズは、遠子先輩が憑き物を落とす探偵役を担ってきているので、今回は探偵自身の事件というわけです。

<以下、本の中身に言及している部分があります。ネタバレには気をつけますが、未読の方はご注意を>

どちらにしろ、『狭き門』を本歌取りするのならば、「天野遠子は消えてしまう」のが何故かというのが遠子先輩の生い立ちに起因するのは間違いないのでしょう。すると今回の事件の中心は、彼女の両親の死とトオコの死の謎ということになります。

探偵自身が事件に巻き込まれるシリーズミステリとなると、一番最初に頭に浮かぶのがエラリィ・クイーンの「レーン最後の事件」(最後の悲劇)でしょうか。あの小瓶の役割を考えると、ひょっとしてと思ってしまうのは、穿ちすぎでしょうね。きっと。

さて、心葉くんの未来は、「月花を孕く水妖」のラストで少し示されていたので予想できるのですが、そこへ向けてどうたたんでいくのでしょうか。

今までの言葉をつなぎ合わせると、どうもハッピーエンドにはならないけれど、悪い話でもない、ほろ苦い終わり方のような気がしますがどうでしょう。遠子先輩×心葉くんを望むか、琴吹さん×心葉くんを望むかでも感想が違いそうですね。

「月花を孕く水妖」には、レモンパイのキーワードも出ていたし、結末後は見えている気がしますが...。

下巻が非常に待ち遠しい。でも、終わって欲しくない(泣)。

ところで、その後で出る短編集や外伝は、「“文学少女”の秘密の本棚」とかですかね。それも楽しみ〜。