「断章のグリムV 赤ずきん 上」甲田 学人
電撃文庫 ISBN:978-4-8402-3909-7
断章のグリムも5冊目ですか。早いですね。
ようやく慣れてきたというか、キャラに馴染みができてきたので、普通に楽しめるようになってきた気がします。
他の本に押されて感想が遅くなりましたが、行っておきます。
今回は、上下巻の上です。
ということで出版社から、あらすじを引用しておきます。
あらすじ:
“この街は歪な異物” 始まりは、少女が消えた森の中──。
小さな森の中。小さな神社へと続く、石と根だらけの細くて狭い、暗い道。前を行く友人の律子に追いつこうと、危なっかしい歩みで必死に足を進める愛。そして彼女は、神社を目前にした石段の上、律子の頭上にかかる朽ちた赤色をした鳥居から、死体の色をした真っ白な“腕”を目撃した……。
田上颯姫の妹が住む街で起きた女子中学生の失踪事件。
<泡禍>解決要請を受けた雪乃と蒼衣を待ち受けていたのは、愛の幼馴染みであり、雪乃へ敵意剥き出しの非公認騎士の少年だった。
『赤ずきん』の予言を受けた<泡禍>は、静かに新興住宅地の町を蝕んでいく──。
感想:
「断章のグリム」の主人公が蒼衣である限り、彼の断章の性格上そうならざるを得ないのですが、巻が進むに連れてペダンティックな雰囲気が強くなってきています。
今回も、赤頭巾の解説に大きくページを割いています。それはそれで面白いのですが、やはりもっと動いてほしいですね。
ある程度赤頭巾との繋がりが見えないと、「推理」できませんから。その状態で蒼衣や神狩屋の推理を聞かされてもね。
人魚姫は、上巻で事件がバタバタと起きて、下巻でその推理をするということで興味を引っ張っていたのですが、今回は、大きい事件が起きていないのでこういう解説をされてもちょっと苦しいですね。
特に象徴学については、興味がなければ全く面白くないかもしれません。そこが、この作品のキモの一つではあるんですがね。だからこそ、事件が深くなってからそこへ行って欲しいんですが。
それはさておき、今回は雪乃が目立つ展開になっていますね。人魚姫で全く雪乃が目立たなかったと書いたのが分かったような(汗)。
<以下、本の中身に言及している部分があります。未読の方はご注意を>
ということで、赤頭巾との関連を想像すると、やはり森と建て売り住宅でしょうか。あの街にポイントがあるのは間違いなさそうですが。
あと、赤マントがどう絡んでくるのかも気になります。人魚姫から、童話の1テーマではなくて、他の話題をからめて来ているのですが、この都市伝説がどう関係しているのか気になります。
できれば、赤頭巾ネタでもっと盛り上げて欲しいところですが。