「“文学少女”と穢名の天使(アンジュ)」 野村 美月
ファミ通文庫(エンターブレイン) ISBN:978-4-7577-3506-4
年度開始だからかどうかわかりませんが、今月は藍麦のお気に入りがたくさん刊行されます。ハルヒ、GOSICKはもう出てしまったので感想行きましたが、まだ文学少女とムシウタがあります。
ということで、今一番のお気に入りかも、“文学少女”シリーズの新刊です。
例によって、出版社から引用します。
あらすじ:
文芸部部長、天野遠子。物語を「食べちゃうくらい」愛しているこの“文学少女”が、何と突然の休部宣言!?
その理由に呆れ返りつつも一抹の寂しさを覚える心葉。
一方では、音楽教師の毬谷の手伝いで、ななせと一緒に放課後を過ごすことになったりと、平和な日々が過ぎていくが……。
クリスマス間近の街からひとりの少女が姿を消した。必死で行方を追うななせと心葉の前に、やがて、心葉自身の鏡写しのような、ひとりの”天使”が姿を現す――。
感想:
もぉ〜っ、面白かったです。“文学少女”シリーズの中では、一番じゃないかな。
前巻のラストから、てっきり「美羽」のお話になるんだと思っていましたが、今回の主役(?)は、琴吹ななせちゃんです。
今回の本歌取りは、ガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』です。まぁ、はっきり言って、藍麦は『オペラ座の怪人』という作品が面白くなかったわけで、あまり良い記憶が残っておりません。ルルーとなると『黄色い部屋の秘密』とも言われますが、こちらもあのトリックは...。
話がそれました。
今回面白かった理由は、こちら側とあちら側です。
“文学少女”遠子先輩も今回の天使も、主人公の心葉もみんな普通の人ではないです。特に心葉は普通になろうとあがいている人物です。つまり向こう側の人たち。
それに対してななせちゃんは、普通の人です。こちら側ですね。そのため、今までのお話よりも共感できたのでしょう。
とはいえ、一応変格とはいえミステリの形態を採っているんで、その評価が悪ければダメなのですが、結構うまくどんでん返しが嵌っていて良かったです。
でもあの引きはないよなぁ。次が気になって仕方ない(苦笑)。
国語の教科書の文章を読むことには飽きずに読めるのですが、どうも、文章ばかりで埋まった本を読むことに関しては・・・。
でも、今までを考えると、宮沢賢治さんの小説("注文の・・・"以外)が×で、小説でないもの、いわゆる(適当な言葉でないのですが)説明文も×だっただけで、本当は結構、小説はいいのかもしれません。
続きあります。