1g6wzjpd 「涼宮ハルヒの分裂」谷川流
角川スニーカー文庫 ISBN:4-04-429209-4

涼宮ハルヒシリーズの第9弾です。
フライング発売をしてくれる本屋さんで金曜に買って、ほくほくと読んでしまいました。
一つ前の『涼宮ハルヒの憤慨』が出たのが去年の5月ですか。1年近く空いたことになります。ライトノベルのシリーズものでは異例ですね。
今回は6月発売の『涼宮ハルヒの驚愕』との上下巻らしいので、最終的な評価は、そちらを読んでから。


例によって、出版社様からあらすじを引用しておきます。

あらすじ:
春の訪れと共にSOS団全員が無事進級できたこ とは、何事もありすぎた一年間を振り返ってみると感慨深いとしか言いようがないのだが、俺は思ってもみなかったよ。春休みの些細な出会いがあんな事件にな ろうとはね。

感想:
う〜ん、谷川流さんの本は、感想が書きにくいです。

ストーリー的には、いつも と同じように、キョンの一人称による語りでの日常から始まり、いつの間にか異常が紛れ込むという展開です。この辺りの書き方は上手いです。ただ、いつもよ り「実は、これは後から考えると違っていた」というような書き方が多く、気になりました。

それはさておき、今回も叙述的な部分に仕掛けが あって、普通に感想を書くとネタバレになってしまいます。それでは、未読の方に失礼なので、例のやつを挟んでおきます。

ただ、多くの方は 本を開くととたんに仕掛けに気づかれるでしょう。版面が上に寄っているというか、上下のマージンが大きいんですよ。それであれっ?て思って中身を確認して しまいました。
(ぢつは、文字数を減らすためにやっていると思った(苦笑))

<以下、本の中身に言及している部分があります。未読の方はご注意を>

ネ タばれというほどでもないと思うので、タネを明かしますと、小説が途中で分裂するのです。その分裂世界αとβの違いを明確にするために、版面を上に上げる 版組になっています。その余白を採るために、上に大きめの余白が採ってああるのですね。

ということで、『涼宮ハルヒの分裂』がパラレル ワールド物かというとその可能性は高そうです。冒頭の部分(P15)に、SOS団にあと足りないのは「異世界人」だという記述がありますから。なので、世 界が分裂して、別の世界から新キャラが登場するという可能性は高そうです。小説の構成も「分裂」していますしね。

今のところその候補は、 α世界の電話の「わたぁし」(=1年の女の子?)だと思われますが、いかがでしょうか。そうすると、β世界が、正しい現在の世界ということになります か...。

もう一つ考えられる「分裂」の意味があります。
それは、佐々木さんをアナザーハルヒと捕らえて、世界の創造主の分裂と 解釈する方法です。

こんな感じですね。
・創造主:ハルヒ ←→ 佐々木(キョンの中学の親友(?))
・未来人:朝比奈み くる先輩 ←→ 藤原(仮名:陰謀の彼)
・超能力者:古泉一樹 ←→ 橘京子(陰謀の誘拐少女)
・宇宙人:長門有希 ←→ 周防九曜(雪山症候群)

ということで、キョンの立位置の人物がいません。これが「分裂」のキモのような気がします。

どち らにしろ、まだ事件らしい事件も起きていませんが、6月の『涼宮ハルヒの驚愕』が待ち遠しいです。

もっと待ち遠しいのが『長門ユキの逆襲 Episode 00』だったりしますが(汗)。