Uvloeeex 「異人館」レジナルド・ヒル
早川書房(ポケミス1795) ISBN-13:978-4-15-001795-8

レジナルド・ヒルは、自分の中でデフォルト読むことになっている作家です。でもそれは、ダルジール警視シリーズという前提なのですが。
ということで、今回もほくほくと買ってきたのですが、ダルジール警視シリーズではありませんでした。

がっくり。


とりあえず、あらすじを出版社ページから引用&改訂します。
あらすじ:
風光明媚な小村に秘められた驚愕の過去とは?

イングランド北西部の小村イルスウェイト。何百年も続くこの村を偶然二人の男女が訪れた。

女は数学者のサム。この村の出身らしい祖母の生い立ちを調べに来たという。
男は歴史学者のミゲル。約四百年前の迫害されたカソリック教徒の調査に訪れたのだ。

村の過去を掘り返そうとするよそ者に村人たちは口を閉ざす。だが、二人の宿泊する〈異人館〉の地下室から古い頭蓋骨が見つかり、やがて各々の家族が関わった驚くべき事件が明らかに

……巧まざる因縁が時空を超えて複雑に絡み合い織りなす物語。本格の大家が皮肉とひねりを効かせて描く会心作。

感想:
いまやヒルの代名詞になりつつある「重厚」という言葉がぴったり来るミステリです。

かと言って、最近のダルジール警視シリーズのように内容的に少し重くなっていて読み難いということもなく、楽しんで読めました。最近のヒルの好きな(本当か?)土着要素も交えている部分が重厚という感じですかね。

出版社の宣伝文句に「幽霊譚、ゴシック説、歴史小説、パズラーなど、あらゆる要素を詰め込んだ重厚なミステリ。」とありますが、どちらかというと、歴史ミステリの色が濃いですね。でも、あれは歴史ミステリにはない要素だなぁ(謎)。

でも、ユーモアやサービス精神たっぷりな内容というのはいつも通りで、ヒルにまだチャレンジしていない方の入門作としてもいいんじゃないかな?

でも、やっぱりダルジール警視シリーズが読みたいなぁ。次で20作目いや19作目だったかな?

ということで、ダルジール警視シリーズでの個人的なベストを上げます。あ、古いのが多いのは、単にハードルが上がっているからだと思います。

1.「子供の悪戯」
ヒルのファンからすると意外かな。アマノジャクなのです。
凝った構成が好き。というか、この辺りからヒルのファンに。


2.「骨と沈黙」
世間一般での代表作はこれですね。
ミステリファンなら必ず読んでおきたい一品


3.「幻の森」
「骨と沈黙」で採った形態、二つの事件の意外な真相ってやつの完成形ですか。じつは、こちらの方が良くできているのかもと思ったりします。