「赤髯王の呪い」ポール・アルテ
早川書房(ポケミス1790) ISBN:4-15-001790-5
気付いた方もいらっしゃらないでしょうが、ここの書評では基本的に新刊しか紹介していないのです。その禁を破ってポール・アルテです。
だって、最近新刊読んでなくって。(汗)
ポール・アルテは、フランスのミステリ作家で、良く「フランスの新本格ミステリ」と称されます。
カーを模したような不可能犯罪にこだわった作風を特徴とし、シリーズ探偵のツイスト博士はフェル博士そのままだともH・M卿とも言われています。
この『赤髯王の呪い』は、ポール・アルテのデビュー作というか第一作目です。私家版として55部だけ作られ、アルテの人気が出たため、後の1995年に正式に出版されたとのことです。
まぁ出版されなかったのですから、後の長編第1作『第四の扉』などより優れているとは言い難いですが、これはこれなりに面白い本です。特に表題作の「赤髯王の呪い」は、日本の新本格作家が得意とする技巧との共通点が見れて、興味深いですね。
以下、それぞれの短編の一言コメントを。
「赤髭王の呪い」
あらすじ:
1948年ロンドン。エチエンヌは故郷アルザス在住の兄から届いた手紙に驚愕する。ある晩、兄が密室状態の物置小屋の中を窓から覗いてみると、16年前“赤髯王ごっこ”をしたために呪いで刺殺されたドイツ人の少女エヴァの姿があったというのだ。エチエンヌは友人から紹介された犯罪学者ツイスト博士に、当時の状況を語り始めるが……。
感想:
ポール・アルテとツイスト博士の実質的なデビュー作です。
これを読んでフェアというかアンフェアと思うかとは聞きません。現在としてはかなり使い古されたトリックです。
でもカーを模したと思われる雰囲気がそれを補っています。なかなか楽しめます。
「死者は真夜中に踊る」
密室で死体が踊るお話し。
行儀よくできていますが、あまり好きではありません。
「ローレライの呼び声」
雪上の足跡という、カーの代名詞のようなシチュエーションのお話。
大胆なトリックで、クイーンの「神の灯」を思い出しました。
「コニャック殺人事件」
フランス人のためのミステリですね。
ということで、やっぱり最初の『第四の扉』の印象が強くて、あれを超える作品は難しいなぁ。
早川書房(ポケミス1790) ISBN:4-15-001790-5
気付いた方もいらっしゃらないでしょうが、ここの書評では基本的に新刊しか紹介していないのです。その禁を破ってポール・アルテです。
だって、最近新刊読んでなくって。(汗)
ポール・アルテは、フランスのミステリ作家で、良く「フランスの新本格ミステリ」と称されます。
カーを模したような不可能犯罪にこだわった作風を特徴とし、シリーズ探偵のツイスト博士はフェル博士そのままだともH・M卿とも言われています。
この『赤髯王の呪い』は、ポール・アルテのデビュー作というか第一作目です。私家版として55部だけ作られ、アルテの人気が出たため、後の1995年に正式に出版されたとのことです。
まぁ出版されなかったのですから、後の長編第1作『第四の扉』などより優れているとは言い難いですが、これはこれなりに面白い本です。特に表題作の「赤髯王の呪い」は、日本の新本格作家が得意とする技巧との共通点が見れて、興味深いですね。
以下、それぞれの短編の一言コメントを。
「赤髭王の呪い」
あらすじ:
1948年ロンドン。エチエンヌは故郷アルザス在住の兄から届いた手紙に驚愕する。ある晩、兄が密室状態の物置小屋の中を窓から覗いてみると、16年前“赤髯王ごっこ”をしたために呪いで刺殺されたドイツ人の少女エヴァの姿があったというのだ。エチエンヌは友人から紹介された犯罪学者ツイスト博士に、当時の状況を語り始めるが……。
感想:
ポール・アルテとツイスト博士の実質的なデビュー作です。
これを読んでフェアというかアンフェアと思うかとは聞きません。現在としてはかなり使い古されたトリックです。
でもカーを模したと思われる雰囲気がそれを補っています。なかなか楽しめます。
「死者は真夜中に踊る」
密室で死体が踊るお話し。
行儀よくできていますが、あまり好きではありません。
「ローレライの呼び声」
雪上の足跡という、カーの代名詞のようなシチュエーションのお話。
大胆なトリックで、クイーンの「神の灯」を思い出しました。
「コニャック殺人事件」
フランス人のためのミステリですね。
ということで、やっぱり最初の『第四の扉』の印象が強くて、あれを超える作品は難しいなぁ。