K1rmosq1 「エンド・ゲーム〜常野物語〜」恩田 陸
集英社 ISBN: 4-08-774791-3

またまた直木賞を逃した恩田さんです。
公式サイトはここです。常野だより

粗筋を説明するとネタバレになるので書きませんが、今回の登場人物は「光の帝国」でも出てきた拝島一家ですね。

まぁ「光の帝国」は短編集なので、その分「エンド・ゲーム」の方がしっかり書き込まれている、かというと、読み終わった感想は、「光の帝国」の方が沢山読んだ〜って感じでしたね。

それは、この「エンド・ゲーム」の構成に原因があると思います。登場人物たちがそれぞれの視点で同じ世界を見ている様子を、それぞれの視点で描写する、もしくは、それぞれの視点で周りの他人を見ている自分を描写するという、多重構造の箱のような構成なので、あまり大きなイベントがなく量的には少なく感じるのだと思います。
まさに、小説の構造自体が「裏返す」様子を表しているとも言えます。

でも、あんまり面白くないんだよね。気合を入れて読まないと、裏側なのかどうか分からなくなるような、確かに凝った構成だとは思うし、こういうお話が好きな人はいると思うんだけれど。やっぱり最近の恩田作品に共通する「放り出された」ような読書感が良くないと思う。本当に読者に結果を預けているというのではなく、ぽ〜んと投げ出してしまっている感じですから。

でもまぁ、これも一つの「常野物語」なので、このシリーズが好きな方はぜひというところかな。